12月6日 JFLの理事会が行われ、ブリオベッカ浦安トップチームは、来年からJFLのカテゴリーで戦うことが決定しました。
JFLから関東リーグへ降格したときのことを考えると、5年間でJFLへ戻れるとは思いませんでした。
降格が決定した2017年12月
年の瀬迫る29日の上層部人事異動のリリースを見た瞬間、地球が暗くなりました。
この年前期(15試合で勝点9)監督を務めていた御方が解任された後、後期は強化部長となります。後任の監督の柴田さんは15試合で勝点17をとるも降格。柴田さんはリーグ最終戦の4時間後に契約満了。そして、12月29日、監督を解任され強化部長となった御方が、GMへ昇進します。
Contents
2018年 基礎ごと流出
田中俊哉様・清水康矢・上松瑛などの主力がいなくなり、秋葉や富塚など育成組織出身の選手が軸になることが期待されました。
その選手たちのプレースタイルやハードワークは光りましたが、新監督の戦術が浸透しません。
監督は車イス、コーチはカメラマン。ブリオベッカ浦安、“J5”の挑戦劇(Number)
https://number.bunshun.jp/articles/-/829781
当時のGMや都並さんは「ポゼッションを大事にする彼のスタイルで結果を残してほしい」なんてぬかしていました。
しかし、地域リーグへ降格したにも関わらず、前期は負け越します。その結果を踏まえて、GMは辞任。その2か月後に監督も解任。(少し先のことも書くと、この2018年新加入した選手のうち、2020年も残留した選手は9名中2名のみ)球団は完全に迷走。
球団が崩壊寸前となった状況を踏まえ、GMの役職は廃止。新しいトップチームの監督には「家中の栗をさらに炎上させた1人でもある」都並さんが就任します。
2019年 暗闇に一筋の光
監督業に戻ってきた浦安・都並敏史 解説者としての経験がもたらすもの(Number)
https://number.bunshun.jp/articles/-/838813
この年から、目に見えてスポンサー企業が急増。
ホーム開幕戦には、いくつも花束が届けられ、地域リーグとは思えない多くの広告幕。
今にして思えば、この試合の前半までが「ブリオベッカの暗黒期」で
後半からは「ブリオベッカの発展期」といえます。最初のターニングポイントといえる試合です。
この年は、リーグ戦18試合で勝点24止まり。しかし、小島樹がファンタジスタとなった攻撃は、観ていて楽しかったです。しかし、小島樹が機能しない試合は、勝点を多く落としました。
強化部長の役職は現在もありますが、GMが居なくなったことにより、スカウティング(新卒選手の加入)は劇的に改善。
(2018年に阪神タイガースの金本監督は、週刊ベースボールのインタビューでスカウティングと若手育成の練習とメンタルの教育を鍛えていかないと新たな伝統は作りあげられないと応えています)それは、サッカーも同じです。
2019年の新卒選手は、11人(!)。その名前を背番号順に列記すると、
南翔太 植田涼吾 石井幹人 小島樹 河田陵 長田健 藤池翼 臼井俊輔 小林瑞知 田口駿 松田大輝 遠藤風貴
暗闇の中に、一筋の光が見えたシーズンでした。
2020年 現在のチームの基礎ができる
2月下旬に行われた天皇杯県予選準々決勝は、あっさりと敗退。
直後、コロナ禍に見舞われます。
リーグ開幕は7月中旬。後期のみ開催かつ無観客で開催となりました。
このシーズンは、村田と橋本龍馬がピッチ中央にいて、周りの選手は呼応するように躍動します。
9試合で勝点20を取り、リーグ戦は2位で終わりますが、全社中止に伴う輪番枠発生により地域CLへ出場。
しかし、未熟な部分もあり、地域CLは1次ラウンドで敗退。
未熟な部分とは、劣勢になったときに、立て直しが難しいことです。2019年から、メンタル改善を目的としてスポーツコンセプターの辻秀一先生に協力してもらっていますが、この時点では効果が断片的でした。
声出しも鳴り物もNGだった地域CL vsFC刈谷戦の勝負どころで、聞こえてくるのは刈谷の選手の声と、ブリオベッカの伊藤GKコーチの「声出せ!!」という指示だけでした。
現在のチームの基礎となっている2020年。この新卒選手は、8人。97年組が加入したのは、このシーズンでした。
冨樫凌央 平野貫路 林洋毅 秋月優太 (石塚龍成) 伊川拓 藤岡優也 池末知史
この年のオフ、都並監督になった時期にチームへ戻ってきた村田と竹中が退団。
来シーズン開幕前に、大きな新戦力が続々加入します。
2021年 リーグ戦22試合で勝点49を得る
まず、ガイナーレ鳥取から上松瑛が復帰します。
プレー面はもちろん、メンタル面や育成組織のことを考えると、この上なく喜ばしい加入でした。
さらに、VONDS市原から峯、二瓶、西袋が加入(GKの谷口は2020年加入)。川向こうからイケメンの小泉隆斗も加入。
さらにさらに、J1クラブ在籍経験のある林容平も加入。
それでも、橋本龍馬や山崎紘吉がチームの中心であることは変わりありません。天皇杯千葉県予選はVONDS市原Vertに負け、全社予選は東邦チタニウムに屈するなど、少し不安定でした(その後、全社本戦は中止決定)。
リーグ戦については、ボランチが橋本龍馬と伊川拓で固定できたとき、圧倒的な勝率でした。
降格して以降、初めて栃木シティ相手にダブル(ホームでもアウェイでも勝利)を達成するなどリーグ戦22試合で勝点49を取りました。
しかし、クリアソン新宿は11連勝を達成しリーグ優勝。そのまま地域CLも勝ち上がり、2015年のブリオベッカ浦安以来となる関東リーグからのJFLとなりました。
この年ブリオベッカに加入した新卒選手は、5人。
加藤大育 高梨起生 三谷胡太朗 伊藤純也 村上弘有
翌2022年もチームに残った3人は、大きく成長します。
2022年 夏場はどん底。秋は絶好調
2022年に加入した新卒選手は5人。
武智悠人 飯澤良介 上中柊司 笠嶋哲太 石原大樹
このうち3人は、昇格内定の瞬間をピッチで迎えることに。
結果的に最高の結果を得た今シーズンは開幕以降、変な現象が生まれます。
リーグ戦では、前所属VONDS市原の選手しか点を取らないことです。小島樹の退団により、攻撃面での迫力は半減。リーグ戦に限っていえば、この現象は7月下旬まで続きました。
しかし序盤戦では、新加入の井上翔太郎がゴールを量産。峯や西袋も負けじとゴールを叩き出します。
天皇杯千葉県予選では、他の選手もゴールを上げ、決勝では順大を撃破。
5月下旬に行われた天皇杯本戦1回戦は、アウェイで筑波大と対戦。2016年以降のベストゲームといえる試合内容でしたが、延長120分の末に敗戦。この試合が、今年最初のピークでした。
6月の全社予選は勝ち上がるも、リーグ戦は絶不調に陥ります。
6月は1勝。7月は未勝利。8月は1勝。9月も1勝。
数少ない勝利のうち、エスペランサ戦勝利は大きかったです。この試合の前半で失点していたら、降格もありえました。
この日は、秋葉 笠松 林容平の3人がベンチ外。
全員に七夕の短冊を書いていただきました。33歳の林容平が、37歳でハードワークする秋葉(163cm)に対し「背が大きくなるように」って書けば? と言った煽りが印象に残っています。
夏の時期の試合内容は低調で、特に8月中旬のホームゲームは酷かったです。
試合終了直後は、「都並監督解任論」を書くべきか悩みました。(結局、解任論を書くのを取り止め)
リーグ戦は5月中旬までの貯金が活きて、最終節の前に何とか残留に成功します。
今にして思えば、試合内容が低調だった期間で若手選手を育てることができました。
とはいえ、ある程度戦力が出揃ったリーグ最終戦では、東邦チタニウムに完封負け。
チームの完成度は高いと言えませんでしたが、おれは鹿児島県志布志市へ全社の応援に向かいました。
1回戦と2回戦は、伊川拓が期間限定で遠藤保仁に進化したこともあり勝利。勝てば地域CL進出の決まる(負ければシーズン終了)準々決勝の栃木シティ戦で勝利。この試合は、現時点でブリオベッカ浦安史上最高のベストゲームです(断定)。
ブリオベッカという球団が存続する限り、この試合は語り継いでいきたいです。
阪神タイガースにおける「バックスクリーン3連発」のように。
最強レベルの栃木シティに勝った勢いそのままに、おれが帰った後の準決勝も勝利。決勝は引き分けのちPK戦勝利で全社優勝を飾りました。
この優勝から地域CL1次ラウンドまで3週間以上の時間がありました。
地域CLの1週間前に、ブリオベッカは練習試合を行います。
相手は横浜FC。J1昇格を決めて、公式戦終了から2週間近くが経っていました。
その日程のおかげで、横浜FCはベストに近い選手が試合に出ました。ブローダーセンや小川航基、さらには中村俊輔までもが出場。
監督が都並さんであることの影響力は、本当に大きいです。
この後の地域CLでは1次ラウンドが3戦全勝。決勝ラウンドは2勝1分。
地域CLも優勝して、JFL昇格を果たしました。
わずか5年で昇格できた要因
スカウティングと若手育成の練習とメンタルの教育が上手くなり始めたからです。
GMという役職がなくなり(当時のGMは、育成部門だと長所を発揮します)、都並さんが監督に就任して、球団のスポンサーさまが増加。都並さんや村田さんの目利きもあり、有望かつ一体感を生み出す選手たちが加入するようになりました。これが、スカウティング(選手獲得)の成果。
若手育成の練習については、斬新な練習方法だったり戦術というものはありません。しかし、Jリーグチームとの練習試合は都並監督就任以降で急増しました。リーグ戦に出れない選手でも、アピールの場を与えられたことにより、出れない選手からの不満は少なくなったように思います。
最後にメンタルの教育ですが、スポーツコンセプターの辻秀一先生に来ていただいた好影響が出ています。最初は若手選手しか影響を受けていないように感じました。しかし、時を重ねるにつれて球団全体(育成組織含む)に好循環が生まれてきています。
特に、全社や地域CLのときの一体感は、素晴らしいものがありました。
この時期のような一体感を1年間保つのは難しいです。来年は背伸びせず自惚れることなく、浦安らしいチームであってほしいです。