個人的な考えですが、
日本のスポーツの応援でよく見られる「コールリーダー型」の応援よりも、「自然発生型」のほうが好きです。
私がよく現地観戦するJリーグで「自然発生型」に近いと感じたのは、
平成26年4月6日 浦和レッズの応援(vsベガルタ仙台@埼スタ)です。
誰のリードもなく、ゴール裏、中段、中央から自然発生するチャント。これも悪くない!スタジアムを再構築中。一人一人が自覚を持って。声を出して。手を叩いて。 #urawareds http://t.co/pzOP2gHs8Z
— コグレマサト/(^o^)\ (@kogure) 2014年4月6日
クラブ公認のフラッグが振られている浦和ゴール裏の映像を見て、Jリーグ開幕当時のことが思い出されました。いろんな意味での原点回帰
— 宇都宮徹壱 (@tete_room) 2014年4月6日
参考
究極の自然発生型応援を体感
究極の自然発生型応援が生まれた試合とは、平成19年 夏の甲子園決勝 広陵 vs 佐賀北 です。
私は、この試合を観戦しています。
後にプロ入りする選手が4人もいる広陵は、順当といえる勝ち上がりで決勝に駒を進めました。
対する佐賀北は開幕試合に勝って以降、延長15回のち再試合あり、延長13回での勝利あり。
ずば抜けた実力の選手がいないのに勝ち進んでいき、佐賀北のファンは少しずつ増えていきました。チーム打率は低いものの、多くの四死球を選ぶ(今でも夏の大会最多記録)高校でした。守りでは無失策の試合が多く、玄人好みのチームといえます。(参考までに、この前年は大会本塁打数が60本。この年は24本。飛ばない公式球だったことは佐賀北にとって幸運といえます)
(特待生制度が問題視されたことも影響し)佐賀北を応援するファンが圧倒的に多かったです。
試合当日のプレーボール2時間前、甲子園に到着すると、広陵サイドのアルプス席しかチケットを売っていない状況でした。外野席は無料開放で、この時点では札止めになっていません。
レフトスタンドの真ん中あたり(左翼手の守備位置の真後ろ。前から25列目くらい)に席を取りました。この時点では、後の雰囲気を全く想像できませんでした。
試合が始まり、広陵は野村の好投で優位に試合を進めていきます。毎回のように得点圏へランナーを送っても、佐賀北は堅守で追加点を与えません。佐賀北の守りでいいプレーが出たときは、球場中から大きな拍手が送られました。
しかし、7回表広陵の攻撃でピッチャー野村がタイムリーを打ち、2点差から4点差に広がりました。
その裏の佐賀北の攻撃は、見せ場もなく無得点に終わります。この時点では、広陵の優勝は決まったも同然という空気がありました。
8回表広陵の攻撃は、またしても得点圏にランナーを送ります。しかし、得点できず。
後に記録を調べると、この時点で広陵の残塁は13。
広陵からすれば、「もっと得点を重ねなければならなかった」
佐賀北からすれば、「ダメ押し点は与えないで何とか踏みとどまっている」状況といえます。
8回裏佐賀北の攻撃。先頭打者はフルカウントまで粘るも三振。次の8番打者は、この大会で12打数ノーヒット。しかし、スローボールを何とかバットに当てて、三遊間を抜く安打。
続く9番打者には代打が送られ、1球見送ってワンストライクからの2球目、スライダーを捉え、一二塁間を抜く安打。連打。
そして、「甲子園の魔物 最終進化版」が姿を現します。
具体的には、
・1塁アルプススタンド以外は、手拍子で応援する人が、どんどん多くなる。
・ボールカウントが1つ増えるだけで、大声援が起こる。
1番打者、2番打者に連続四球で佐賀北が1点を返します。なお、1死満塁。
私はレフトスタンドの真ん中にいたのに、
三塁アルプスから聞こえるはずの応援の鳴り物が記憶にありません。それほど、ファンの手拍子や1球1球に対する歓声は大きかったです。
守る広陵ナインにのしかかる、暑さ・疲労・そして異様な大歓声…高校生が平常心でいられるはずはありません(審判の判定に過剰な反応をする等)。
そして、高校野球史に残る副島選手の逆転満塁ホームランが飛び出しました。
一塁アルプス席を除く球場全体で、言葉では言い表せない熱狂的な歓声が起こります。この雰囲気は、私の人生でもう二度と体感することはないでしょう。
当事者の証言を列挙すると、
(副島選手)打球がレストスタンドに入ったのを確認しても、逆転したことをすぐ理解できなかった(一時的に1ケタの足し算ができない状況)
(一塁走者)「スタンドが持ち上がったように見えた(観客が一斉に立ち上がったため)」
(公式記録員)手が震え、定規でも本塁打の部分は真っすぐ線を引けなかった
甲子園V砲の逆転満塁HR「衝撃で足し算ができなかった」佐賀北の元選手らの証言(AERA)
「あの夏」佐賀北×広陵(朝日新聞デジタル)
逆転満塁ホームランが出た後も、野村は続投。後続は抑えて、9回表を迎えます。
広陵最後の攻撃は無得点に終わり、佐賀北の優勝に終わりました。
レイトンオリエント(当時は5部リーグ)の試合
「サッカー発祥の」イングランドでは、サポーター団体に、「コールリーダー」という役割はありません。
迫力ある歌が常時スタジアムに響くわけではないですが、
5部リーグでも、ワンプレーワンプレーに対する反応が大きかったです。
決定機のシュートを外したときの「ウー!!」という音は、とても迫力がありました。
「自然発生型」に必要な特徴
競技も国も違いますが、上記の試合を観戦した観客に共通している特徴は、
・ワンプレーワンプレーを集中して観ること
・ワンプレーワンプレーに大きく反応すること(味方の選手を委縮させるのはNG)
・流れが悪くても悲観的にならないこと
平成最後のホームゲームで
現在、ブリオベッカ浦安の応援は、「コールリーダー型」と「自然発生型」がごちゃ混ぜになっています。
しかし、平成最後のホームゲームは、自然発生型に近い応援となりました。
浦安は退場者が出て2点ビハインドという状況から、後半16分に1点返します。
この得点以降、観客が上記の特徴を満たした観戦(応援)スタイルに変わり始めました。
バックスタンドの太鼓の周りには、より多くの子どもたちが集まり、自然と応援の輪が広がっていました。
メインスタンドは、手拍子する人が増え、ワンプレーワンプレーに対する反応が大きくなります。
攻勢を強めるも、1点ビハインドを追いつけないまま迎えた後半アディショナルタイム、
浦安が決定的なシュートを打ちます。しかし、ボールはポストを直撃してゴールできませんでした。
この瞬間わきあがった歓声は、日本の5部リーグとは思えないものでした。
(若いファンが書いた観戦記)
最後に
私自身が理想だと考えている応援について書いてみました。
他の浦安ファンが、全員同じ考えではないと思います。
応援は生き物のように、常に変化するので、今後どうなるか分かりません。
しかし、「応援を強制させるのは好ましくない」という考えは一致しています。
平成27年に、流通経済大学から東京都2部のチームに期限付き移籍していた選手の一言で、この記事を締めます。
やっている応援 と やらされている応援 では、
「ピッチ上でもらえるパワー」が違う
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