切り替えなんてできません 筑波大vsブリオベッカ

3年ぶりに天皇杯本戦へ出場したブリオベッカ浦安。

1回戦の相手は、筑波大学。5年前の天皇杯では、J1のベガルタ仙台に90分勝ちしています。おれが書くまでもなく強豪。部員だけでなく地域住民が応援に駆け付ける様子を見ていると、ビッグクラブにも見えます。過去10年以内に在籍したOBを1つのチームに集結させると、J1でトップ5には入れるであろう陣容です。個人的な妄想で、その陣容を挙げると

GK 阿部航斗

DF 角田涼太朗 谷口彰悟 車屋紳太郎(←この3人全員、今年のACLに出場) 

WB 山川哲史 三丸拡

MF 井川空 高嶺朋樹 戸嶋祥郎

FW 森海渡 三笘薫

ため息が出てきそうな選手層です。
といいえ、対戦するのは「今の」筑波大学蹴球部。怯むのは、よくないです。

1回戦の試合会場は、ひたちなか。

午前中は大雨が降り、会場に着いたときには晴れていましたが、ベカスタでも体験しないような強風。

選手のピッチ内アップ練習の始まったキックオフ35分前には、観客の緊急地震速報が鳴ります。

緊張感が走ったものの、周辺被害は確認されず、事なきを得ます。

この時間帯は観客がまばらでしたが、キックオフ間近になるとホームチームといえる筑波大を応援する方々が数百人来場。筑波大のホーム色が強くなったところで、選手入場。

かなりの強風なので、コイントスを注目して観ていましたが、筑波大は前半風下に向かって攻めるエンドを選択。

予想できた展開とはいえ、筑波大がボールを保持する展開です。

守備時は最終ラインでの競り合いは、ブリオベッカが勝っていましたが、中盤は筑波大が支配。

我慢の展開が続きます。

筑波大のパスワークによって、DFラインが少しずつ下がったところ、

ミドルシュートで失点を喫します。

この時間は、国旗掲揚台の中央に掲げられていたJFAの旗を一旦下げるほどの強風。

その強風の影響も受けたゴールでした。

ブリオベッカは一方的にやられていた訳ではなく、惜しいシュートもいくつかありました。

前半ATのラストプレーでは、伊川の蹴ったボールに(今季初出場の)藤岡がうまく合わせましたが、ネットを揺らすことはできず。

1点ビハインドで前半を終了します。

 

勝負の後半。

筑波大の「球際の強度」に慣れてきたブリオベッカが、巻き返します。

PA外からコースを狙ったミドルシュートは、ポストに嫌われます。アウェイの地に駆け付けた浦安ファンは、ここまでで一番の盛り上がり。浦安ファンの手拍子が、ホームを思わせるほどに大きくなります。

そして満を持して、FW井上翔太郎が途中出場。

筑波大としては最警戒する選手で、ボールが井上に収まる前から、筑波大のDFが「やりあう」シーンがありました。直後にブリオベッカがコーナーキックをゲット。そのとき、この日の主審 村田裕紀は、2人を呼び出して一言二言 注意を与えます。球際の激しいプレーとラフプレーを区別してジャッジできていたこともあり、個人的には好感がもてます。2人を十数秒呼び出して、「ラフプレーの芽を摘む」ことも見事。ラフプレーや遅延行為には黄紙も出していたのも良かったです。近いうち、J1で主審を務める日もあるでしょう。

このコーナーキックから得点は生まれませんでしたが、流れはブリオベッカに傾きます。筑波大はクリアするだけになってきて、ブリオベッカの波状攻撃が続きます。

ブリオベッカは2回目の選手交代を行います。このタイミングで出場した伊藤純也が、展開力を見せます。左サイドの小泉隆斗へ、「自由に仕掛けられるボール」を供給。小泉が少し早いタイミングでクロスを入れた結果、

オウンゴールを誘発して同点。

アウェイ応援席からは、歓声が湧きエレクトリカルパレードの太鼓が流れます。

その間ピッチでは、ブリオベッカの祝い事は最低限にとどめ、キックオフを急ぎます。

対する筑波大イレブンがは円陣を組み直し、打開策を練り直します。

ここからが本当の勝負です。

ブリオベッカは、0-1のときと同様に試合を進めます。中盤での競り合いも五分五分になってきました。運動量も負けていません。後半35分ころ、筑波大のキャプテンの足がつり、選手交代。

ここからブリオベッカはさらに攻勢を強めます。浦安ファンの手拍子はますます増え、ワンプレーワンプレーに対する反応も、レッズサポーターのように熱くなってきます。しかし、得点には至りません。

後半AT突入前後、両チームとも選手を交代させます。

今季初出場の藤岡に代えて、富塚がそのままDFラインに入ります。この場面で羽中田監督時代の苦い経験が活きる形になります。そして、後半ATには、ブリオベッカにチャンスが来ます。そこでは決めきれず、延長へ。

後半45分間のスタッツを見ると、ブリオベッカのシュート6本に対し、筑波大はわずか1本。

90分で勝てなかった残念な気持ちを持ちながら、延長戦に入ります。このころになると、風は弱まってきました。

両チームとも運動量が限界に近付きつつあり、中盤の存在感が薄まってきます。それでも、両チームのDFが奮闘し、シュートシーンは少なかったです。

試合自体が膠着状態になりつつあった延長後半10分ころ、攻守に活躍していた右サイドの加藤大育が、ダイレクトで井上翔太郎にパスを出します。

井上翔太郎は独力でボールをPAまで運びますが、筑波大の正当なスライディングタックルで倒されます。

しかし、ボールは離しませんでした。立ち上がって、すぐにシュート。ボールは筑波大のゴールネットを揺らしました。

浦和レッズ FWワシントン 緊急来日(ゴールパフォーマンスはダサい)

ブリオベッカの勝ち越しを祝うエレクトリカルパレードの太鼓が、ひたちなかに響きます。

このまま延長前半終了。

ブリオベッカは、運動量が特に落ちてきた2人を代えて交代枠を使い切ります。

このまま残り15分を逃げ切りたかったですが、ボールホルダーへの寄せが甘くなり、同点に追いつかれます。逆転されたわけではないですが、筑波大のセレブレーション(祝い事)は派手でした。

筑波大がすぐにキックオフを急ぐのであれば、嫌な予感のするところでしたが、そうはならず少しホッとします。

(↓同点に追いついた後、キックオフを急ぐ一礼)

派手な祝い事を見て、再び勝ち越しを狙えるとは思いました。

途中出場した伊藤純也、平野、飯澤、そしてワシントンがいれば、仕留められる予感がありました。

しかし、このままスコアは動かず、2-2の引き分け。

2回戦進出をかけたPK戦に移ります。

結局PK戦は負けましたが、ブリオベッカがPKを止められても、キッカーは背筋を伸ばして列に戻るを見て、少しは精神的に強くなったことを実感しました。

球団製作の横断幕撤収を手伝い、競技場の外に出ます。

そこで、1人の筑波大ファンから声を掛けられ、「今日は惜しかったですね」とか「いい試合でしたね」とか挑発を受けました。(←大きな一発勝負の試合では、トラブルの元)

おれは大きな声で「負けは負けなんだよ!」と言って、その老害虫を振り払います。

老害の行動を例えるなら、数十人の筑波大ファンが試合終了3分以上経っても「浦安浦安く●ったれ」とか「お前らずっと関東リーグ」のコールをするのと同じくらいご法度です。

このブログを見ていて気付いた人もいると思いますが、試合後まで写真を1枚も撮影していません。個人的には、この試合のサポートに集中していました。

90分ないしは120分で筑波大に勝てなかったこと。

この悔しさ・無念さは1週間経っても引きづっています。切り替えるには、数カ月の時間が必要だと思います。