鳥栖駅出発~スタジアム到着
駅前不動産スタジアムを出た15分後、混雑に巻き込まれながらも、ホームにたどり着き16時17分発「リレーかもめ」に乗車。

フットボールの熱気とは打って変わって、落ち着いた車内のシートに座り、心を落ち着かせます。
列車は佐賀県内を西に走行し、武雄温泉駅に到着。
対面のホームに停車していた新幹線に乗り換え。


鳥栖駅を出発してから1時間05分。
箱根の2区と同じくらいの時間で、あっという間に長崎駅到着。

スタジアムへ向かう前に、寄り道。
路面電車 長崎駅前電停からすぐの中華料理屋です。
人気店のため、少し並びます。開店直後に並んだので待つ時間は比較的短く、30分後には「人生で1番おいしい皿うどん」にありつくことができました。

待っている間、車イスに乗っていたお客さんと話をしましたが、
そのお客さんは新スタジアムに行ったことがあり、目を輝かせていました。
「バリアフリー構造でありながら、車イス席からでも臨場感があること」「スタジアムグルメに並ぶことがないから快適」「試合のない日でも楽しめる」といったことを教えてくれました。
おれは、「関東の有名チーム(FC東京とか川崎フロンターレとか横浜F・マリノスとか)でもサッカー専用ではない」ことを話すと、驚いていました。
皿うどんを食べ終え、長崎駅前電停から路面電車に乗ります。
2駅目のスタジアムサウス電停で下車。
そこから歩くこと2分(長崎駅から歩くと10分)
大きい建造物が現れます。

長崎スタジアムシティです
長崎スタジアムシティ到着
でかい展示場 もしくは ショッピングモールに着いた感覚なのに、サッカーの応援歌(チャント)が聞こえてきて不思議な気分でした。

(↑の奥に見える建物は、バスケのアリーナ。長崎ヴェルカは、プレミアへの参入が決定)


フードホールは、キャッシュレス決済のみ。数か所に設置されている注文端末で注文可能。

スタジアムのエスカレーターを上がりピッチが見えたとき、「強烈なワクワク感」を覚えました。







このスタジアムに来た人は、みんなが「強烈なワクワク感」を覚えるはずですが、
それはビジターチームの監督も同じ
下層のコンコースは1周できる構造で(場合によってはアウェイ席だけ隔離)、どこからでもピッチが見えます。
そのコンコースも広い幅があり、ほとんどストレスを感じません

上層のコンコースは、ホテルがあるため1周できません。悪しからず。
おれは、バックスタンド(ややアウェイ寄り。前から12列目)の指定席に座ります。
良質な座り心地。

おれは昨晩から「はかた号」を完乗した後、アウェイ鳥栖戦でサポートをして、長崎に駆け付けました。
普通ならグッタリしているはずなのに、興奮しっぱなしで疲れを感じません。
キックオフ10分前を切り、ホーム V・ファーレン長崎の選手紹介
レーザーライトを使ったキレイな演出でした。


選手入場のときは、スポットライトだけが点灯

審判団、選手、マスコットの整列が終わると、照明が一斉点灯。
スタンドのあちこちから歓声が上がります。

そして、キックオフ
試合開始

スタジアムの臨場感やプレーを間近で見られる迫力については、いろんな媒体で取り上げられているので、ここでは割愛。
前半10分ころ ロアッソ熊本が先制点を決めたとき、アウェイ席からイングランドのような大歓声が巻き起こります。
長崎の選手は、開幕戦独特の熱気に浮足立っている選手が多数。熊本を率いる大木監督の繋ぐサッカーを相手に、全くいいところがありません。
長崎の下平監督は、テクニカルエリアでワンプレーワンプレーに対し、身振り手振りで指示を出します(歓声が凄いので、ジェスチャーでも伝える必要あり)。

上の写真を見て分かるとおり、ベンチが観客席と一体になっています。
ベンチのすぐ近くにいるファンは、極上のフットボール観戦ができるはず。
バックスタンドにいるおれにとっては、ベンチの中が見えやすいのはもちろん、
テクニカルエリアの監督の様子が良く分かります。
熊本の大木監督は、前半 テクニカルエリアに出てくることは、全くといっていいほどありませんでした。

ビハインドの長崎が、4本連続でコーナーキックのチャンスだったとき、サポーターの「い、れ、ろ!!」コールは迫力がありました。

長崎のサポーターは、日本代表などで馴染みのある応援歌(チャント)が大半。
初心者でもノリやすい応援に徹している印象です。おれの周りにいる観客は初心者が多く、応援歌は歌いずらそうでした。しかし、目の前のサイドをドリブルで駆けあがったときは、いろんなところから歓声が起きていました。
熊本のサポーターは、長年自分たちで使っている応援歌を多用。前半の応援は、ホームと互角以上の迫力がありました。
熊本が1点リードの前半終了間際、ピッチで動きはありませんでしたが、おれはスマホを動かします。
座席から、アプリを使ってスタグルを注文(先述した注文端末でも可能)。





注文が完了し、ピッチでは前半が終了。
おれは席を立ち、近くの店に向かいます。
着いたとほぼ同時に、番号による呼び出しが掛かります。

前半が終了して2分後、おれは難なく「角煮まんじゅう」をゲット。
満員の試合なのに、ストレスフリーでスタグルを購入。恐るべし。
このスタジアムは、ビンカン持込NGですが、その他の持込は他のスタジアムと同様。
エスコンフィールドのように厳しいルールではありません。
2月のナイターなので、観客のみなさんは、温かい飲み物(持参しなくてもコンコース内にペットボトルの自販機あり)・お菓子・スタグルetc.をおいしそうに飲み食いしていました。
おれは、下層コンコースを一周。
ピッチとは反対方向に目を向けると、スタジアムとは思えない光景でした。
ゲートのすぐ近くに、スーパーマーケット・有名衣料品店・体験型ゲームコーナー・学習塾・温泉サウナetc.(このスタジアムは再入場可能)


とても不思議な気分でした。
後半が始まってしばらくの間、コンコースをうろちょろ。
おれが座っている席(バックスタンド12列目)は、微風だったこともあり雨は降ってこなかったです。前から6~7列目くらいまでは雨に濡れていた模様。
スタジアムを散策していると、客席から大歓声が起こります。
長崎のエース マテウスジェズスの同点ゴール。
おれの目の前にいた車イスに乗ったファン&介助者も、大喜び。
スタジアム中の空気が一変します。
前半は長崎の選手が雰囲気にのまれる時間帯もありましたが、完全に逆の展開。熊本の選手は明らかにのまれている様子。
2分後には、エジガルジュニオの逆転ゴール。
アウェイ席以外が、大興奮状態。
おれは第三者なので比較的冷静に見ていましたが、このスタジアム(によって引き出される長崎サポーター)の底力を見せつけられた気分です。
逆転した長崎は攻撃の手を緩めません。熊本の選手がJFLでもあまり見ないミスをして、長崎が高い位置でボール奪取。そのままドリブルでPA内まで運んだところ、ファールで倒されPKゲット。
このPKはマテウスジェズスが決めて2点リード。
長崎が同点に追いついてから5分足らず。
おれからすれば、突然の嵐みたいな時間でした。
その後は、長崎の選手がノビノビとプレー。山口蛍は、ボール奪取から前線へ駆け上がる見せ場を何回も作り、DFのエドゥアルドは、ボール奪取からの豪快なミドルシュートでサポーターを沸かせます。
しかし、熊本も反撃し、新加入の塩浜のゴールで1点差に迫ります。
残るは後半AT
スタンドからは、歓声も悲鳴も巻き起こります。フットボール観戦の醍醐味。
どちらのチームの「チャンスの芽」はありましたが、試合終了。
3-2で長崎の勝利。
試合終了後
アウェイの選手& ヴィヴィくん が、それぞれのサポーターの元へあいさつ。


参考・ヴィヴィくん に引けをとらない珍しいマスコット べか彦(ブリオベッカ浦安・市川)

長崎の選手は、あいさつに向かう前、独自のマンオブザマッチを決めるため2~3分待機。
独自のマンオブザマッチというのは、「試合終了直後、大型ビジョンにQRコードが映し出されて、それをスマホで読み取ったサポーターが選手に投票できる仕組み」のこと。
その投票の結果、松澤海斗が選出。
松澤は、小学生の子どものヒーローインタビューに笑顔で応えていました。副賞として、スタジアムのホテル最上階にあるレストランの豪華ペア食事券が贈呈。プレゼンターは、インタビューアーの子ども。

ホームゴール裏にあいさつするとき、キャプテンの山口蛍が拡声器を使い、ファンにあいさつ

拡声器の声は、スタジアムのマイクを通じてみんなに聞こえました。
選手がピッチから去った後は、レーザーライトを使った「勝利時のみの特別なショー」

このショーを見届けて、多くの観客はスタジアムを後にします。9時20分ころ。
そのときの大型ビジョンには↓の画像が長時間映し出されていました。

おれは、退出することなくスタジアム中を巡ります。



コンコースやスタンドには、記念撮影をする人たちが一定数いました。中には、イケメン選手の大きな写真とツーショットを納める若い女性も。
スタジアム内にいたファンは、みんな いい表情。
おれは、その様子を見たり、べか彦のグッズを妄想していました。


ゲートのすぐ脇にあるスーパーマーケットは、(10時ころまで)営業時間を延長して、賑わっていました。

10時を過ぎると、スタジアムのコンコースは、ほとんど消灯。
フードコートの店は閉まっていましたが、飲み食いできるスペースは盛り上がっていました。

この写真のすぐ後ろでは、両チームのサポーター10人以上がひとつの大きな机を作って楽しそうにしていました。
たくさんの幸せな光景を見届けて、長崎スタジアムシティを後にします
(おれは、試合当日 特別料金のホテルに泊まれなかったので、そのレポートは他のファンの記事を見てください)

贔屓チームにとって耳の痛い話
少し話が脇道に逸れます
おれは、JFLに所属する「ブリオベッカ浦安・市川」というチームをサポートしています。
しかし、Jリーグ・JFL 全76チームの中で唯一 ホームタウンで公式戦が開催できません。
この日の試合を観て痛いほど分かったのは、「サッカーが大好きでなくても、自分事として応援できる」ポイントが随所に見られたところです。
セットプレーのチャンス時のコール、得点が決まったときに得点者はサポーターの元へ駆け寄る、試合後にスポンサーではなくサポーターを第一に考えた運営を行う、マンオブザマッチの選出方法、ヒーローインタビューで選手を身近に感じてもらう工夫、多くのサポーターが来場したお礼は欠かさないetc.
本当に勉強になりました。
試合翌日
朝の散策で、原子爆弾落下地点からすぐの場所にある 平和公園へ


過去の現実を思い知らされる場所ですが、長崎スタジアムシティからは たったの2km
路面電車で長崎駅前まで戻り、新聞を2つ購入。
1つ目は、毎日新聞
表紙&3面が、贔屓チームの監督を扱っていました。

もう1つは、地元の長崎新聞
表紙&スポーツ面で大々的な取り上げ方


新聞を読んでから、再びスタジアムシティへ。





この写真で撮影した場所は、朝7時以降であれば誰でも入れます。
おれがスタジアムに来たとき(8時半)には、ピッチコンディションを整えるスタッフの方は整備中。ピッチ内だけでなく、多くのスタッフがコンコースやフードコート、エスカレーターetc.を清掃していました。
キレイな状態を保つことで街を築き上げ、人々の接点を作りたい思いが伝わってくるようです。欲を言えば、ペットが入れるスペースがあればベスト(調査不足で既にあるのであればゴメンナサイ)。グラウンドゴルフは、スペースの都合上無理なはず。
こんな↓写真も撮影できます(熊本サポーターの方、ご協力ありがとうございました)

朝から空いている温泉&サウナ施設には、時間の都合上行けなかったですが、その上には、無料とは思えない場所もありました。


スタジアムのインフォメーションセンターには、立派な模型が飾られていました。


浦安へ帰る前に、スタジアムシティの目玉を体験。
ジップラインです(しかも、スーパーマン型)
富士急のアトラクションは、ほとんど乗れないおれですが、とても楽しめました。
時間にすると30秒ちょっとでしたが、スタジアムの上を鳥のように跳ぶ経験は、そうそう味わえません。
オプションで動画撮影サービスを申し込んだところ、片方の手首に小型の3Dカメラを付けてくれて、当日中にメールで動画が送られてきました。
その動画は、少しずつ角度を変えて映し出されていて、BGMが入っていました。すぐにSNSへ投稿できる編集済。その動画リンクを貼ることはしませんが(映っているのは、ただの独身男性)、キャプチャーを2枚入れておきます。


ジップラインを終えて、大満足のおれは歩いて5分のバス停から、(はかた号ではなく)長崎空港行きのリムジンバスに乗り、航空機で千葉に戻りました。
スタジアムシティ訪問を終えて
長崎スタジアムシティは、民間の土地を「ジャパネットたかたの創業者で」「V・ファーレン長崎を完全子会社化した」髙田明氏が買い取ったことで、現実世界の建造物となりました。
髙田明氏の著書「90秒にかけた男」はアジトにありますが、小さなカメラ店経営から通信販売に活路を広げて年間売り上げ1,700億円を記録し、後にV・ファーレン長崎の社長に就任した半生が綴られています。
小さいカメラ店で1人の顧客と対話をする仕事に始まり、数百万人が視聴するテレビに生放送で出続けた仕事を長年された方の経験話(成功も失敗も)は、とても興味を惹かれました。この著書を読んだ感想として
商品の持つ潜在的な価値をアピールして売る能力 において、右に出る人は、いません。
その能力は、長崎スタジアムシティで遺憾なく発揮されているように感じます。
髙田明氏の著書 や 風姿花伝(現代語訳)を読んだ頭で、長崎スタジアムシティを訪れると、
「フットボールを商品とした巨大な生放送スタジオ」に錯覚することがありました(フットボールは90秒ではなく90分です)。
おれの妄想はさておき、現実としては名前のとおり「まち」を創るためにできた巨大構造物です。長崎のみなさんで、いろんな経験(成功も失敗も)を積み重ねて、接点を強くしながら立派な「まち」を目指してほしいです。
ブリオベッカのパーパス(企業の社会的意義や志を意味する)は、
サッカーでともに成長し、まちを楽しくする。
と 策定されましたが
長崎のみなさんは、長崎スタジアムシティという「まち」をもっと楽しんでほしいです。
いつもより長い文章にお付き合いいただき、ありがとうございました。
では。
微に入り細に入りの記事。ありがとうございました。初めて訪れる方には、このブログを読むといいよとおすすめできるものだと思いました。
第三者の視点は大切ですね。
また、私もアウェイ観戦で可能な時は翌日の現地新聞を買って帰ります。同じようにされていたので流石と思いました。
最後に感謝したいのは、平和公園等を訪れていただいてこと。長崎人としてありがたいです。心から感謝します。
一点、誤解がありましたのでお知らせします。この施設の場所を、
入札で取得したのは、ジャパネットHDの髙田旭人社長兼CEOです。あの時点では、もう創業者の明さんは二代目に代替わりをしてらっしゃいましたので。老婆心ながら。
こんばんは。
>入札で取得したのは、ジャパネットHDの髙田旭人社長兼CEOです。
情報提供ありがとうございます。髙田旭人社長の書籍も読んで勉強します。
今後も、スタジアムシティという街をもっと楽しんでください!!
浦安市民からすれば、とてつもなく羨ましいです。
長崎サポの瀬頭と申します
素敵なレポートありがとうございます
レポートの中にあったフードコートで熊本サポさん達と交流会をやってた仕掛け人の1人です
レポートして頂きありがとうございました
こんばんは。返信が遅くなりました。
試合後も、スタジアム内で「幸せな光景」をたくさん見ましたが、その様子はとりわけ印象に残りました。
浦安市民としては、本当に羨ましい限りです。
これからもスタジアムシティで、たくさんの思い出をつくってください!!