最大の悔しさ と 最高の楽しさ 天皇杯本戦2回戦 ブリオベッカ浦安 vs 横浜F・マリノス

天皇杯本戦2回戦へ進出を決めたブリオベッカ浦安

そこに立ちはだかったのは、昨年のJリーグチャンピオンでした。

会場到着まで

この前の日曜のリーグ戦が終わってから、全く落ち着きませんでした。

天皇杯本戦でマリノスと対戦できることに、平日の仕事中も興奮状態。

この状態では、1人のサポーターとして、試合に向けて気持ちを高める必要はありません。これ以上気持ちを高めたら、街中でいきなり奇声を発するとか、首都高湾岸線を150km/hでぶっ飛ばすとかしそうで怖かったです。

迎えた試合当日。6月7日水曜日。早朝まで雨が降った影響で、かなり湿度が高く梅雨入り間近らしい気候。おれは午後4時前まで仕事をし、ニッパツ三ツ沢球技場へ向かいます。

「戦術ジャストFIT」Honda車のレンタカーに乗って。

https://twitter.com/gerseayfm/status/1402559979261861891

 

首都高の渋滞に対するイライラを抑えながら運転し、開門後に三ツ沢公園駐車場に到着。

気持ちを落ち着かせてから、球技場へ。

寂れたパチンコ屋の換金所みたいな場所で当日券を購入。

そして、場内に入ります。

スタジアム入場~キックオフ

マリノスのサポーター作成の大きい横断幕を見ただけで、気分が高揚します。

ブリオベッカは、球団所有の選手個人幕とサポーター作成の「半分ネタ幕」をいつも通り掲示。

おれは、浦安側応援席に座り、仕事の疲れを少しでもとるために、しばらく目を瞑ります。

その間、後ろの大型ビジョンでは、「過去の天皇杯ダイジェスト」と「天皇杯史上初の公式アンバサダー 三笘薫の特集」が流れている模様。これらの映像で「筑波大が大きく取り上げられている」ことに対しおれは

「筑波大に勝ってごめんにゃさい」弾幕

を作成して掲出することを1分くらい検討。のち却下。

天皇杯本戦1回戦で対戦した筑波大は「行儀を知らぬ1名の輩を除き」尊敬に値する選手たちばかりなので、ネタ的に使うことは止めました。

この1回戦は、ブリオベッカ浦安の歴史上ベストゲームと言っても過言ではない試合内容&試合結果でした(この記事を書いている時点で、筑波大は関東大学1部リーグを無敗の独走状態。全チーム7試合しか消化していないのに、2位に勝点差5をつけています)。

J1リーグしか知らないファンには想像できないはずですが、Jリーグでないクラブが天皇杯本戦2回戦へ進出するのは、本当に大変なことです。

しばらくして、選手がピッチ内でウォーミングアップを開始。そして、シュート練習へ移ります。今日の試合会場のニッパツ三ツ沢球技場は、客席とピッチの距離が近いため、ボールがスタンドに飛び込んできます。それに対しおれは、プロレスの場外乱闘を意識しながら拡声器で

「お気をつけください、お気をつけください! 危険ですから下がってください!」

と叫んだところ、他のファンサポーターから「駅のアナウンスそっくり」との感想をいただきました。内心ではガックリしました。

楽しい?ピッチ内練習が終わり、両チームの選手紹介が行われた後、拡声器を握って以下の内容を伝えます。

「1回戦の筑波大戦は、選手のハードワークと育成組織の選手の応援で勝利することができました。今日の選手たちは、1回戦以上に積極的なプレーをするので、良いプレーだと思ったら声と手拍子で後押ししましょう」

間もなく選手が入場し、ファンサポーターは「ミッキーマーチ」で選手をで向かいます。片や、マリノスサポーターの応援は、JFLでは味わえない迫力です。

試合前のコイントスはマリノスが勝、エンドチェンジはなし。すなわち、前半はブリオベッカ応援席目の前のゴールにマリノスが襲い掛かります。

そのゴールを守るのは、この日が初出場(!)となるゴールキーパーの松野輝樹。現在 東洋大3年生で、サッカー部だけ退部しています。3月のホームゲーム コンコースで初めて姿を見たときは「どこのモデルだろう」と思ったくらいひょろっとしていて、ルックスもいい選手です。

育成組織の選手・ファンサポーターは松野を激励する声を叫び続けます。

そして、キックオフ。

前半開始~ハーフタイム

ブリオベッカは、マリノスの有名選手に屈することなく仕掛けに行きます。

前線の4人だけでも、マルコスジュニオール 水沼宏太 杉本健勇 井上健太という豪華な顔ぶれ。それでも、どんどんボールを前に運び主導権を握りかけた時間帯もありました。

しかし、徐々にマリノスが押し始めます。ボランチの山根と榊原が捕まえにくいポジションを取り、ブリオベッカは全員が自陣に引きこもります。DFの笠嶋、西袋、藤森はもちろん、両サイドの小泉・伊川も徐々に下がってきます。これらの選手はマリノスの前線に前を向かさないよう懸命の守備をします。マリノスのボール回しに少し慣れてきたところで、ボランチの伊藤純也、荒井大が前線へボールを供給し始めます。

前線でいい連動はありませんが、なんとかなりそうだと思った矢先、スタジアムが大歓声に包まれます。

マリノスがDFラインから前線へロングフィードのボールを蹴ったところ、ブリオベッカの選手に若干のもたつきがあり、初速が早いマリノスの井上健太がボールをかっさらって、先制ゴールを決められます。

それでも、ブリオベッカの選手は円陣を組み直して再び意思統一を図ります。ファンサポーターも0-0のとき以上の声援で選手を後押しします。

その後は、村越健太がPA近くでドリブルをするシーンや峯、村上がクロスに飛び込むシーンも出てきますが、得点はならず。それでも、少しだけチャンスを作れています。育成組織の選手が自発的にチームコールを始めるくらい、良い試合内容になってきます。

(コールリードを始めることの多いサポーター や おれは、試合中に拡声器を握っていません。スタンド内で主従関係を作りたくないからです)

ブリオベッカはDFラインでボールを回すことが増え、その度にマリノスの前線がいいチェイスを掛けてきますが、それを交わしてチャンスになることもありました。GK松野は、モデル体型からは想像できないキック力があります。

前半終了間際には、ブリオベッカの右サイドが崩れかけるシーンも散見しましたが、決定機はつくらせず前半終了。個人的にはあっという間の45分間でした。

ハーフタイム中の応援席は「マリノス相手に十分試合になっている。完全な決定機は作らせていない(際どいオフサイド判定は1回あり)。後半勝機あり。」といった声があちこちから聞こえてきます。

リーグ戦のハーフタイムは、冗談話で盛り上がることが多いのですが、この日は全くなし。

先制点を取られたシーンを振り返るファン・サポーターがいたことには、イラッとしましたが後半に集中するよう優しく話しかけます。

後半開始~試合終了

後半開始からチームキャプテン「浦安の明神」こと橋本龍馬がピッチに送り込まれます。

その効果は早速出て、ブリオベッカは前線から積極的にプレスを掛けます。

橋本龍馬や伊藤純也がボールを奪取するシーンが増え、浦安応援席は否が応でも盛り上がります。目の前のゴールに迫る選手のハードワークに押されて、「カモン浦安」の応援歌(チャント)の声と手拍子が大きくなります。

流れの中からDF藤森隆汰がシュートを打つシーンもあり、スタンドは沸きます。

https://twitter.com/briobecca/status/1650750266164277249

マリノスが相手PA内へボールを運ぶシーンがほぼ無くなり、ブリオベッカはシュートを打てるシーンが増えます。それでも、マリノスDF木村 上島 實藤 小池のシュートを打たせない寄せが早く得点はならず。

この時間帯、おれにとって時間の過ぎるのが「ものすごく早く」感じました。

FW村上弘有がPA内でスライディングタックルを受けたとき、育成組織の選手が「PKだろ」と叫んだり、

シュートを至近距離で顔面ブロックしたマリノスの選手に向かい野次を飛ばすシーンでは、

「ウチの選手に声援を送ろう」とか「首から上だから一旦応援はストップしよう」とか声掛けしたときだけ、我に返ったとうに思います。

裏を返せば、育成組織の選手はトップチーム選手たちの頑張りに一生懸命応えようとした結果なのですが。この日は、ファンサポーターが声援を煽る必要がほとんどないくらい、みんなヒートアップしていました。

それでもゴールを奪うことはできず。

逆にコーナーキックのピンチで、吉尾海夏の素晴らしいプレースキックからエドゥアルドがドンピシャヘッドを決められ2点差に広がります。マリノスサポーターの大歓声が先制点のときよりも大きかったです。

それでも、ピッチ上の選手、ファンサポーターは怯みません。

1点差のとき以上に、プレスを掛けます。失点直後に交代で入った つーたん(二瓶)と林容平が今までにない気迫を見せます。

つーたんは、左サイドからのドリブルでアタッキングサードでのファールを何回も誘発。マリノスの守備陣が目の前に立ちふさがっても、ボールを前へ運ぶ姿勢に、ファンサポーターが大歓声で応えます。カモン浦安の声量もどんどん大きくなります。フリーキックやコーナーキックのチャンスを何回も得ます。ゲームキャプテンの西袋が、ファンサポーターの声援をさらに煽ります。それでも、マリノスのGKオビがファインセーブを連発。

マリノスがカウンターで途中出場の宮市亮がサイドを駆け上がるシーンは、浦安ファンから悲鳴も上がりましたが、DF陣のハードワークにより3点目は与えず。

林容平は、ゴールを狙えるポジション取りに集中。マリノスDFとの駆け引きでも、いくつか優位に立ったときもありました。

時間だけがどんどん過ぎ、後半アディショナルタイムに突入。

終盤で出場した井上翔太郎も見せ場を作ります。林容平が決定機でシュートを打ちますが、マリノスのGKオビが人間業とは思えないようなスーパーセーブ。林容平は頭を抱え、オビは拳を握りながら」雄たけびを上げます。おれは、この場面で初めて敗戦が頭をよぎりました。

結局、残りのアディショナルタイムでもゴールを奪えず(得点時のエレクトリカルパレードを歌えず)0-2でブリオベッカは敗戦。

試合後

試合終了の笛が鳴っても、ファンサポーターはチームコールを続けます。

ピッチ中央で選手審判が一礼した直後、マリノスのケヴィン・マスカット監督が審判団と握手。J1王者の現場トップなのに、偉ぶらないとても礼儀正しい方です。

ブリオベッカの選手は、「フットボールらしく素晴らしい雰囲気で試合ができたことに感謝し」マリノスのファンサポーターの元へあいさつへ向かいます。

直後、おれにとっては信じられない光景を目にします。

マリノスの選手たちが、ブリオベッカ応援席のすぐそばまで来てくれました。(おれの記憶で、マリノスの選手が相手サポーターの元へあいさつへ行ったのは、東日本大震災2か月半後のアウェイベガルタ仙台戦や松田直樹急死4か月後の天皇杯松本山雅戦のみ)

ブリオベッカ育成組織の選手たちにとって、マリノスの選手は憧れの存在。特に宮市亮は人気がずば抜けて高く、声援も段違いでした。

おれは、この光景を一歩引いた目線で観ていて、(勝手ながら)ブリオベッカというクラブをほんの少しだけ認めてくれた と解釈しました。「柳想鐵の横断幕と選手サポーターの記念撮影」を少し遅らせてでもあいさつに来てくれた行動に対し、Fマリノスコールを返します。(マリノスのコアサポーターも尊敬しているので、マリノス側からブリオベッカコールがないことは、理解しています)

そして、ブリオベッカの選手たちがあいさつに来てくれました。目が潤んでいる選手もいましたが、大半の選手はものすごい悔しさとちょっと楽しかった様子が入り混じった表情をしていました。

都並監督に拡声器を握ってもらい(就任5年目で初)、今日の応援に対するお礼と今後のサポートのお願いについて お言葉をいただきました。

選手がピッチ内から姿を消し、ファンサポーターは横断幕を回収します。おれを含めた全員が「悔しい」という言葉を連発。

それでも、後半の応援が楽しかったことは確か。いろんな感情が湧きあがります。

マリノスカラーの消えたニッパツ三ツ沢球技場を後にする瞬間、拡声器で「相手が横浜FCだったら勝ってたぞ!」と不謹慎な叫びをしたかったです。

注意.横浜FCの四方田監督は、街クラブの活動にとても理解のある方で、昨年11月 地域チャンピオンズリーグ直前には、ガチメンの練習試合を組んでもらいました。そのおかげもあり、地域チャンピオンズリーグで優勝しJFL昇格を果たしました。

https://twitter.com/yokohama_fc/status/1588094226184929281
https://twitter.com/briobecca/status/1588098408971018240
https://twitter.com/briobecca/status/1588099273505140736

不謹慎な叫びをするはずもなく、バスの出待ちをする両チームのファンサポーターを横目に見ながら駐車場へ向かいました。

試合終了24時間後

このレポートを書いている時点でも、アドレナリン噴出が止まりません。悔しいです。

帰りの車中では「天皇杯本戦2回戦突破」を全員が口にしましたが、その舞台にたどり着くだけでも、本当に大変です。2回戦出場を何回か経験すれば、自ずと道は開けるはず。

しかしそれは、短期的な目標です。

中期的な目標は

トップチームよりも育成組織が先にできたチームなので、トップチームで大活躍できる選手を育成組織から輩出すること。小学生時代にACL決勝を現地観戦し、育成組織に加入し、トップチームでACL優勝に大貢献した浦和レッズの伊藤敦樹のように。

そして長期的な目標は、

天皇杯vs横浜F・マリノスのようなビッグマッチを浦安市内で開催すること。

現在、ブリオベッカは浦安市内でJFLを開催することができません。

昨年 舞浜で関東リーグを開催したときの観客動員は1試合平均500人に満たず、スタジアム改修・新築に行政が動いてくれるはずもありません。

行政を動かすには、1試合あたりの観客動員を大幅に伸ばす必要があります。地元での地域貢献活動が最も大切であり、地道な努力を継続することが大切です。

他には、浦安市民以外のサッカーファンを引き付けるのピッチ内の試合と運営も重要です。

この天皇杯を見て、ブリオベッカのホームゲームを観に行きたいと思ったファンに伝えたことは、

・必ずしも素晴らしい試合内容になるとは限りません

・それでも、選手たちはハードワークを続けます

・マスコットキャラクターの べか彦 と スタジアムグルメは、どのJリーグクラブにも勝てる自信があります

https://twitter.com/hollyfox310/status/1637431211764379649

・ホームゲームを多く開催する柏の葉は、メインスタンドに大きな屋根があり、試合も観やすいです。自家用車や路線バスでのアクセスも容易です

 

おれが、この天皇杯で書きたいことは、ひとまず以上です。最後まで読んでいただいてありがとうございました。

どこかのスタジアムで、甚平野郎とお会いしましょう。では!

4.7 7 votes
Article Rating
Subscribe
Notify of
guest
3 Comments
Oldest
Newest Most Voted
Inline Feedbacks
View all comments
かおり
かおり
1 year ago

初めまして、こんにちは。
突然のコメント失礼します。
当方マリサポで、当日は現地観戦しておりました。
メインスタンドから見るブリオベッカさんのゴール裏、皆さん声量もすごくタオルを振り回しながら応援している姿にとても感動しました!
今でもリズムのいいチャントが頭の中をぐるぐる回っております笑
正直都並さんが監督をしてらっしゃることくらいしか存じ上げなかったのですが、機会があればスタジアムに足を運びたいと思います^^
とても良い試合でした!
横浜までお越し頂き、ありがとうございました!!

JOH
JOH
1 year ago

ホームに客が入らんのは、企業努力が足りないからでしょ
何も改善せずにJ3入を目標としてるが、何の解決にもならない
地元の小学校、中学校を招待するとか、やれんもんかね