主審の加藤さんが試合終了の笛を鳴らした瞬間、うれし涙が溢れそうになりました。
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試合前日まで
昨年も同じ対戦で、延長の末PK戦で敗退。その雪辱を晴らしたいのですが、昨年よりも年間成績が離れてしまいました。
ブリオベッカはJFLで0勝3分5敗。ドベ。
筑波大は関東大学リーグ1部で首位。対戦1週間前のリーグ戦vs法大は無敗同士の上位対決にも関わらず5-1で圧勝。
第三者から見れば、筑波大がブリオベッカに圧勝して当然といえる下馬評です。
天皇杯本戦の1回戦の対戦相手が筑波大相手と分かったときから、おれは体のキレを戻すよう調整。3年ぶりに体重を60kg台へ戻しました。
さらに、体調を戻すよう試合前日はひたすら爆睡。寝ていない時間帯は、ある試合に関するプロ野球の動画をずっと観ていました。
そのとき動画サイトで観た試合は2試合。どちらも、プレーオフ(クライマックスシリーズ)がない時代です。
1つは、1989年の10月12日。西武vs近鉄のダブルヘッダー。西武は連勝すれば ほぼ優勝決定でしたが、近鉄ブライアントの4打数連続ホームランで近鉄にマジック2が点灯。次の試合で、近鉄が大逆転優勝を決めたときの出来事。
もう1つは1994年の10月8日。中日vs巨人。
ラスト1試合を残し、両チームが同率首位で並んだ状況。つまり、勝ったチームが優勝。長嶋監督率いる巨人が、試合前日から異様な雰囲気を醸し出し、普通の試合ではありえない采配をふるい、見事優勝を果たした試合です。
これらの試合動画を見て、決勝戦で勝つイメージを作りました。
試合当日 会場到着
ここ数年特有の夏らしい気候となった5月の日曜日。
サッカー天皇杯本戦1回戦が全国各地で開催されました。全席声出し応援可能な大会は4年ぶりです。
ゼットエーオリプリスタジアム(市原臨海)では、ブリオベッカ浦安vs筑波大学の一戦が行われました。
おれはキックオフ2時間前の午前11時に着きましたが、この時点で観客は10人もいません。
ブリオベッカの選手バスも会場入りしましたが、この時点では特にサポートをせず。
浦和レッズのサポーターのような行動をしたいところですが、ピークを14時30分過ぎにもってくるために我慢。
11時半に開門。この時点でも、観客は20人くらいです。
天皇杯の特徴として、注意事項等のアナウンスが繰り返し流れます。過去の天皇杯を振り返る動画も流れないので、独特の重苦しい雰囲気となります。
ブリオベッカのベンチ外選手&サポーターで、球団所有の横断幕をせかせかと貼ります。
その後、ファン所有の幕を掲出。
ピッチ内アップが始まるころ、筑波大蹴球部のベンチ外選手が続々駆けつけます。幕の掲出も大人数で、あっという間に完了させました。
ピッチ内アップが終わるころ、両チームの選手紹介。筑波大ベンチ外選手のコールが響きます。
選手入場直前には、おれが(千葉県開催なのに人数的にはアウェイの)浦安ファンへ演説を行いました。いつも通り、選手が前を向いてプレーする限り、声と手拍子でサポートしましょう!!という内容です。
拡声器を使わないところでは「決勝戦のつもりで」という言葉を20回以上発しました。
そして、選手入場。
スタメン選手の写真撮影が終わった後、キャプテンの西袋は、ボール回しに加わろうとしましたが、すぐに気付き、慌ててコイントスへ向かっていました。おれは内心「大丈夫か?」と思いましたが
試合開始
ブリオベッカの出足が素晴らしかったです。
筑波大は、必要以上に「引いて守る」強かったです。
村上のポストプレーは、そんなに機能していませんが、中盤でボールはよく回ります。
浦安ファンは、最初からギアを上げてサポートをします。そして、10分過ぎに結果が出ます。
自陣で荒井大(あらいふとし)が、裏へ浮き球のパスを出します。筑波大DFとの駆け引きに勝った村越が完全に抜け出し、キーパーと1vs1。
このチャンスを決めて、ブリオベッカが先制。応援席にいた育成組織の子どもたちが、一斉に最前列へ駆け寄ります。
筑波大からすれば、想定していない点の取られ方です。ブリオベッカからすれば、筑波大が寝ている間に2点目を奪いにいきたい展開ですが、追加点はならず。
20分過ぎ、同点に追い付かれます。ブリオベッカはいつもより「ボールの奪いどころ」を高く設定していましたが、そこで奪いきれず、見事なスルーパスを出されて失点。筑波大は最初のシュートで追い付きます。過去の実績も現在の実力も伊達ではありません。
それでも、ブリオベッカは怯みません。センターバックは意志疎通ができており、中盤も球際が強かったです。JFLの経験が活きています。
30分過ぎ、ブリオベッカは3本目くらいのコーナーキックのチャンスの流れから、伊藤純也が見事なシュートを決めて再度勝ち越し。「ゴラッソしか決めない男」襲名も近いです。
その後は、筑波大の猛攻。ブリオベッカはPA内への侵入を何回も許しますが、決定的なシュートは打たせません。フィールドプレーヤーのシュートブロックが早かったです。筑波大の選手に 遊び心 があれば、危ない展開でした。
何とか持ちこたえ、前半は2-1で終了。ブリオベッカリード。「第三者から見れば予想外の展開」で折り返します。
ハーフタイムも、おれは他のファンサポーターに「決勝戦のつもりで」という言葉を繰り返します。
ファンサポーターの会話は、真剣な話ばかり。「怖いけど、点を取りに行かないとやられる」という考えを統一します。
後半開始
両チームとも選手交代はなし。
筑波大が一気呵成に攻撃してくると思いましたが、その様子はありません。じれずに同点勝ち越しを狙ってきています。角昂志郎のドリブルから決定機を作られかけますが、大事にはならず。
ブリオベッカの選手たちの運動量低下が危惧されましたが、その様子はなし。疲れが見え始めた村上に代わり、怪我から復帰のFW林容平が入ります。
直後に油断したところで、ブリオベッカのDF陣の連携がずれ、簡単に裏へ抜ける縦パスを通され、失点。あっさり同点に追い付かれます。
それでも、ブリオベッカの選手たちは下を向かずにハードワークを続けます。
中盤がオープンになり始めたころ、場内が騒然とします。
ブリオベッカが敵陣で大きな影響の出ないファールをします。直後、近くにいた林容平はジョギング程度のスピードでボールから5mくらい離れたとき、筑波大の輩(選手)が後ろ向きの林容平の足元にボールを蹴りこみます。当然、林容平はその輩につっかかります。当然、手を出したりはしませんが、この3年間で見たことのない形相でした。
この流れでも、主審の加藤さんは筑波大の輩に警告すら出さず。ブリオベッカの選手やベンチも抗議。
この時間帯以降、ブリオベッカの応援席はヒートアップします。育成組織の子どもたちも。
直後の70分過ぎには、中盤で効いていた荒井大に代わり橋本龍馬。1か月ぶりの復帰です。
筑波大も「あるポジション」で当然の交代。
どちらも、勝ち越しを狙いに行きます。
75分以降、セットプレーのチャンス時、おれは拡声器を使わず育成組織の子どもたちを煽ります。(拡声器を使うと、主従関係になりがち)
中盤がさらにオープンになる中、林容平と中盤の選手のプレスでボールを奪います。そこからの展開で、藤森がスペースにパスを出します。
PA内でボールを受けたのは村越。そこでドリブルを仕掛けず、横にパスを出します。筑波大の選手が触れる前に反応したのが、林容平。見事な嗅覚でゴールを奪い、3度目となる勝ち越しに成功。
前半に上げた勝ち越し点は、子どもたちが最前列へ駆け寄りましたが、このときばかりは、興奮したおれが一目散に柵へ足をかけていました。ごめんなさい。
応援席もピッチ上も感情が爆発。3度目の得点を祝うエレクトリカルパレードは、絶叫に近かったです。おれも、子どもたちも、すごい表情をしていたはず。
試合時間は残り10分近くとなり、ブリオベッカは中盤の2人を代えて、二瓶と秋葉を送り込みます。2人とも懸命のプレスで、筑波大にいい形を作らせません。橋本龍馬がシュートを打つシーンもあり、理想に近い試合運びになりつつありました。
筑波大も最後の交代を終え、残り時間はアディショナルタイム含め10分弱。
両チームとも足を攣る選手が出てくる中、シュートがほとんど打てない展開になります。どちらのチームも、センターバックが素晴らしかったです。ファンサポーターはひたすら応援。
ブリオベッカも、サイドの伊川と小泉が相手に走り負けない動きができていました。
アディショナルタイムは5分の表示。
筑波大はブリオベッカPA内にボールを集めます。それを懸命に跳ね返します。
オープンになったボールは、前線が何とかキープしようと体を張ります。
このアディショナルタイムは、とても長く感じます。アディショナル3分台にはセットプレーのピンチもありましたが、乗り切ります。4分台に入り、敵陣でボールをキープ。ファンサポーターは祈るような思いで最後の応援を続けます。
5分台に入り、敵陣でスローインを得たとき、主審の加藤さんが笛を口に加え、手を頭上に高く伸ばしているのが見えました。
その瞬間、おれは席にへたれ込みながら、握り拳をしていたはずです。嬉し涙が溢れそうになりながら、終了の笛を聞きました。
ブリオベッカ浦安 天皇杯本戦で筑波大相手に90分勝利。歴史的勝利。2回戦進出。
試合が終わった瞬間、10秒以上目をつぶっていたので、両チームの選手がどんな表情だったのかも分かりません。
いつも通り勝利の「おさかな天国」の替え歌を歌った直後、おれの5歳年下のファンの計らいで「うーらーやっ」コール(We are REDS!!と同じテンポ)をします。熱すぎる情熱のこもった声量でした。
浦安の選手が応援席へあいさつへ来る前に、筑波大の選手たちがこちらへあいさつに来ました。
第三者からすれば、筑波大は(1人の輩を除き)クリーンで気持ち良いサッカーだったので、今後も選手の活躍に注目したいです。
そして、ブリオベッカの選手たちがあいさつに来てくれました。村越のインタビュー後に今季2回目のラインダンス。吉田武史が盛り上げてくれました。
この日だけは、ラインダンスが終わっても全く余韻が冷めません。まるで、全社の栃木シティ戦です。
この日のvs筑波大は、個人的にACL決勝のつもりで臨みました。(残念ながら、試合数時間後の浦安駅前の繁華街で選手とサポーターが盛り上がったとか、駅前の吉野家が完売することはなかったです)
しばらくしてから、ファンサポーターで、幕のかたづけを始めます。そこでやっと、2回戦の話題になります。
ブリオベッカにとって次の2回戦をJリーグのチームに例えるなら、
(開催国枠だとかインチキプレーオフではなく)アジアチャンピオンとしてヨーロッパチャンピオンと対戦するくらいの気持ちです。
おれには、レッズサポーターのような「素晴らしい覚悟と情熱」がないです。レッズサポーターのように、バス待ちやスタジアム内で、(写真や動画撮影する者を場違いにさせる)圧倒的な雰囲気を作ることはできません。
それでも、全社栃木シティ戦やこの日のvs筑波大を越えるようなサポートをします。おれも、おれの周りも。