2019年天皇杯を振り返る ジュビロvsホンダロック

昨年(2020年)は変則開催となった天皇杯。

今年(2021年)は、ほぼ予定通りに1回戦が終了しました。

6月9日(水)から行われる2回戦では、アマチュアカテゴリーのチームがJ1のチームと対戦します。

おれが好きなブリオベッカ浦安は、過去にJ1のチームと対戦したことが2回あります。

1回目は、おれがファンになる前の2014年。首位の浦和レッズと駒場で対戦。

2回目は、2017年。首位の柏レイソルと日立台で対戦。

下のリンクは、試合に参戦(観戦ではありません)したときのブログになります。

翌2018年、ブリオベッカは千葉県予選で敗退。本戦2回戦は、ラインメール青森のサポーターに混ぜてもらい、フクダ電子アリーナに参戦しました。

ラインメールの奮闘により、応援にも熱が入りました。

そして、2019年。

ブリオベッカは、天皇杯本戦に出場します。1回戦で対戦したのは、上田綺世を擁する法政大学。田宮諒の欠場が響き、浦安は0-1で敗れました。

好きなチームは2回戦進出となりませんでしたが、別のチームの試合に参戦させていただきました。

向かった場所はヤマハスタジアム。

曇天の中、開門となります。

この時点では、スタンドにいるファンもまばらです。改修後のスタジアムに来たのは初めてでしたが、アウェイサポにとっては臨場感のあった以前のほうが好印象です。

参考:アウェイサポにとって臨場感があったころのヤマハスタジアム

改修後のヤマハスタジアムを残念に思っていると、雨が降ってきました。

コンコースへ逃げることもできましたが、じっと我慢です。

ほどなくすると、年中コスプレする中年(Twitterは常時監視しているのに、ブログの最終更新は2016年3月)がスタジアムに到着。

持参した横断幕を、みんなで手際よく貼り付けます。

選手アップ後には、恒例の訓示。

「相手のジュビロは、名波が辞任したこともあり、我々にとってはちょうどいい相手です」

中年が適度な煽りを入れます。(おれも、少し参考にしています)

いつものホンダロックであれば、J1様のチームは、ちょうどいい相手ではありません。ホンダロックは、大量失点するのが関の山。

しかし、この年は違います。2016年以来2回目となる確変に入っていました。

センターラインにDF伊勢渉とFW安藤翼が新加入。

ジュビロは、名波監督が辞任して最初の公式戦です(この試合時の監督が誰だったか、忘れました)。アップセット(番狂わせで強い相手が負ける)が起こる予兆を感じさせました。

J1リーグ開催時に比べれば、観客の入りは少なかったですが、スタジアムには妙な緊張感がありました。

選手入場時、(天皇杯にしては)ジュビロを取り上げる取材陣が多かったです。

試合が始まっても、妙な緊張感がスタジアムに残ります。

ジュビロが決定機を多く作る展開を予想していました。しかし、ホンダロックの守備が効いています。センターバックの伊勢渉が安定しています。高さだけなら、ジュビロの選手に引けを取りません。しかし、伊勢がサイドに釣りだされたとき、PA内がバタバタしているのは気になります。

その予感が的中し、伊勢がサイドの対応に追われている間に、クロスを上げられて、ジュビロの中山仁斗に先制点を決められます。

しかし、ホンダロックの応援席はいつも通りでした。

即興応援が多い。 副審を誉めまくる(ホンダロックのDFライン統率がよく、オフサイドを多く取れた)。 向かい風チャントのとき、コスプレ中年が、SS伊豆サポの太っ腹を棒で叩きまくる。 コスプレ中年が、走る踊る。

普段Jリーグの試合しか見ないジュビロサポは、この応援が異質に見えたはずです。

変な応援に背中を押されて、ホンダロックが勢いを得ます。ゴール前の混戦から、右サイドバックの田宮碧人が押し込んで同点。菅井直樹のような「何でお前がそこにいるんだよ攻撃」が炸裂します。

ホンダロックのファンが、とても喜んでいるのを不思議に思っていると「J1様相手の得点は初」とのこと。

このまま前半終了。スコアは1-1。

ハーフタイム中、ホンダロックの選手は、ピッチ上でアップをしてたのですが、サポは池上智視を推し続けていました。それは、後半が始まってからも変わらず。

後半が始まり、ピッチ上では、ジュビロがさらっと勝ち越しを決めます。コーナーキックから、中山仁斗がヘディングシュート。

しかし、今年のホンダロックは違います。ロックが、「ゴールに鍵をかける」のではなく「相手の鍵を奪いにいく」チームになっていました。

ジュビロがDFラインでパスを回しているところで、ホンダロックの安藤翼がボールをかっさらいます。そのままドリブルで持ち込み、ジュビロのGK八田と1vs1。安藤翼はシュートフェイントで八田を置き去りにします。無人のゴールにボールを流し込み、再び同点に追いつきます。

ホンダロック応援席は、大盛り上がりでした。しかし、おれは20秒ほど別のことをしていました。

ジュビロのDFを「やっちゃった」コールで煽りました。

何故かというと、ミスをしたDFが明らかに落ち込んでいたのと、ジュビロの監督が激怒していたからです。

ジュビロがこの状況を引きづるのであれば、逆転ゴールを狙えるかも…と思っていました。

しかし、そんな考えは通用せず。ジュビロの森谷賢太郎のドライブシュートが決まり、スコアがまた動きます。

「打ち合い上等」になっていたホンダロックといえど、安藤翼が疲労した後は、流れが来ませんでした。

最終的なスコアは、5-2でジュビロの勝利。

試合後のホンダロックサポは、選手の健闘を称えます。

そして、年中コスプレする中年が、サポに向けて試合後の締めのあいさつ。

「J1様相手に2点取れたことの喜び」と「平日の磐田に来てくれたファンへのお礼」を伝えてお開き。

有志で横断幕を回収し、スタジアムを後にします。

(おれも手伝いましたが)ホンダロックのサポ5人くらいで、横断幕を年中コスプレする中年の車へ運びます。そのとき、

高校生くらいのジュビロサポの横を通ります。短い脚立やトラメガを持っています。

ジュビロの若いウルトラ(熱狂的なサポーターグループのみなさん)でした。

気が付いたホンダロックのサポ数人は、ジュビロのウルトラに話しかけます。そのときの会話を書き起こすと…

(ホンダロックサポ)「お疲れさま。やっぱりジュビロは強いね」

(ジュビロのウルトラ)最初は警戒心が強め

 「ありがとうございます」「17番の選手(安藤翼)が、よかったですね」

「おれたちは明日も仕事だから、これが精いっぱいだよ!」

「サポーターのみなさんは遠くから来て、明日仕事ですもんね」

「いやいや、うちの選手のことだよ」

「???」

「みんな工場で働いているんだよ」

「(驚愕)」

「就職に困ったら、ウチの工場に来なよ!」「給料はいいと思うよ」

「(困惑)」

おれの心の中(間違ったことは言っていないけど、未来ある高校生に、宮崎の鍵屋の就職を勧めても困惑するに決まってる。磐田よりもずっと田舎だし)

「ジュビロは大変みたいだけど、J1に残留できるよう頑張ってね」

「ありがとうございます!」

短い会話でしたが、とても印象に残っています。

(勝ったチームの)若いウルトラに、労いの言葉をかけて就職の世話までしようとする年中コスプレする中年は、やっぱりいい人でした。

以上、一昨年観戦した試合レポートです。今年の天皇杯2回戦は、どんなアップセットが起こるのでしょうか?