ブリオベッカ浦安 2位躍進の要因は「適応力」

今シーズン ブリオベッカと対戦したチームの監督のコメントを一部引用します。

まずは、10月下旬に対戦したヴィアティン三重を率いていた樋口監督の記事。

最終節 レイラック滋賀戦・試合後コメント(ヴィアティン三重公式HP)

例えば勝つために守備的なサッカーをやる、あるいはカウンターだけを狙ったサッカーをやる。もしかするとその方が勝点は取れるかもしれない。このJFLで例えばブリオベッカ浦安が負けなくなったのはそこの部分だと感じています。

(この発言に対し過剰反応を示すのであれば、政治を批判的にしか捉えないのと同じです。野党支援者が、与党関係者の発言にだけ誹謗中傷に近い批判をすること。逆も然り)

話が少しそれました。

次に、11月上旬に対戦したラインメール青森を率いる柴田監督の記事。

【試合後コメント】第25回JFL第27節 vs.ブリオベッカ浦安(ラインメール青森公式HP)

前半も後半もほぼ一進一退という展開でした。向こう(ブリオベッカ)はどちらかというと攻撃に特徴があり、攻撃に力点を置く攻撃ベースのチームというのは試合前のスカウティングでも実際やってみてもそうでした。

同じ時期 かつ メンバーも変わらないのですが、まるで別のチームを評しているようです。

守備に穴を作らないことだけを考えていた序盤戦

5月中旬の沖縄SV戦までは、守備に穴を作らない意識が強すぎました(4月下旬の青森戦からは、マシになりましたが)。

試合に負けた後の都並監督のコメントで「JFLの強度へ慣れるのに時間が掛かっている」といった発言もありました。おれ自身は、ブロックを作る意識が強すぎる なおかつ 予測が遅い ことが原因だと考えていました。

ピッチ内から聞こえてくるのは、守備における距離感や「チャレンジ&カバー」の確認の声ばかりでした。

「球際の弱さ」が「連動の良さ」に変わった中盤戦

球団にとって歴史的勝利となった天皇杯本戦1回戦 vs筑波大 からチームは変貌していきます。

その次のアウェイ滋賀戦は、結果だけ見れば1-3の敗戦。前半の内容はブリオベッカがボールを支配し、決定機を逃し続けました。後半立ち上がりに、セットプレーのピンチから失点し、試合も落としました。

しかし、主力選手も戦線に復帰し、「球際で負ける」ことが少なくなってきました。

「球際で負けなくなった」というよりは、「チームとして連動し始めた」と書く方が正確です。

滋賀戦の後に行われたソニー仙台戦。この試合の立ち上がりは、自陣に引きこもった守備でしたが、ソニー仙台のプレスが弱まったときにカウンター一閃で先制。以降は、大きく崩れることなくJFL初勝利。決勝点は、特筆すべきパスワークでした。

その3日後に行われた天皇杯本戦2回戦 vs横浜F・マリノス のビッグマッチを経験した結果、選手も監督もスタッフもサポーターも「やってきたことは間違っていない」という共通認識を持ちます。

この試合以降、選手たちは連動の良さを発揮。序盤戦では「逆転負け」が目立ちましたが、中盤戦になると「逆転勝ち」が増加。

とはいえ、ラスト10分で同点に追いつかれ引き分けに終わる試合が続くなど、若干不安定でした。

選手だけで修正していた終盤戦

9月以降になると、選手同士で「意識の共有」ができるようになります。

試合の序盤でも後半立ち上がり直後でも、チームの中心的選手が要求したりされたりする場面が目立ちます。

9月の4連戦(順位が上だった滋賀・ソニー・しんじゅく・Honda)で2勝2分0敗という成績は見事でした。

10月最初のヴェルスパ大分戦で、前半立ち上がりに先制点をゲット。そのときは、セレブレーション(祝い事)の時間よりも、選手間の要求&確認に時間を割いていたことが印象に残っています。

この試合に快勝し、上位争いに食い込もうとした試合で、勝ちきれない試合が出てきます。

90分の試合の流れを共有しつつありましたが、勝点3を意識しすぎて選手同士の意識が少しずれる場面もありました(10月下旬~11月中旬にかけて、後半にビハインドを負う失点や同点ゴールを取られる試合が増加)。優勝できなかった最大の理由は、書くまでもなく序盤戦の出遅れですが、引き分けの多さも要因の1つといえます。

しかし、ラス2のホーム最終戦とラス1の試合は、ほとんどの時間帯で選手同士は見事な連携を見せていました(前からプレスをかける、自陣でひきこもる、サイドを攻略する、相手を食いつかせてDFからのロングボール1本で崩すetc.)。

「適応力」の例外

今シーズンはジャッジへの異議が少なかったように感じます。

村田コーチがテクニックエリアから「文句言わない!!」という声掛けを続けた成果とも言えます。

適応力という意味では、嫌な位置でフリーキックを与える場面が少なかったことも挙げたいです。

DFラインの選手1人1人の守備能力が高かったこともあり、今年のブリオベッカが相手にPKを与えた回数はゼロ(リーグ戦だけでなく天皇杯関連含め)。

一発退場もゼロ。守備の選手の奮闘ぶりが光りました。(参考までに、現時点で最後の一発退場は、2022年9月 関東リーグでのこと。西袋が、裏に抜けた相手FWに付いていけずDOGSO判定。相手FWは、石橋オビオラ)

とりあえずのまとめ

今年のブリオベッカは「一体感」というキーワードが多く使われます。

しかし、個人的には「適応力」という言葉を使いたいです。

JFLは、「試合中における相手の修正能力」が飛躍的に上昇します。それでも、ブリオベッカの選手たちは要求したりされたりすることで「自分たちの適応力」が「相手の修正能力」を上回る試合が多かったです。

とりあえずのまとめは、ここまでにします。

マルヤス岡崎戦のレポート や 今季のターニングポイント振り返りは、また今度。

では。