過去に2年間だけJFLに所属していたブリオベッカ浦安。降格が決定的となった試合が行われたのは、
四日市市中央陸上競技場です。
2017年のJFL 残り4節で迎えた試合。残留争い直接対決のアウェイに乗り込んだブリオベッカ。試合終了間際に勝ち越され、ホームチームの歓喜を見届ける屈辱を味わった地です。
あれから4年半が経った2022年3月13日。残留争いかつ大雨で悲壮感が漂った当時と違い、春の陽気に包まれたスタジアム。
1人のスター(べか彦ではない)によって雰囲気は一変していました。
鈴鹿の選手のスタジアム入場を見届けた後、私はメインスタンド入場口の待機列に並びます。
すぐ後ろにいた地元のご夫婦に声を掛けてみたところ、やはり「スター」目当てとのこと。
自らのことをミーハーと名乗っていました。
私が「この地域は、ヴィアティンもあってサッカーを観るには楽しいですね」と言ったところ、
「…そんなチームがあるんですか?」と驚愕の回答をいただきました(サッカーファンとしては)。
この後も会話を続けていると、
おれが「スターのサインをもらったことがある(実話)」ことに、興味津々の様子でした。
2014年のシーズン開幕前のキャンプ練習後にもらったことを話すと、ご婦人は目を輝かせていました。
そうこうしている間に入場口が開門。少しずつ待機列が進みます。
その直後、キックオフ1時間45分前にはメインスタンドが満員札止め。
私は、メインスタンドの右端に席を確保します。
この試合は再入場が可能だったので、バックの芝生側に足を運んでみます。すると、
バックの芝生 右側の入り口は、ご覧の通り。
キックオフ1時間20分前の時点で、「この付近は」JFLの光景が広がっています。
(運営の反省点として、スタンドへの出入口とアウェイチームのエリアは明確にしていただきたいです)
この後、ピッチ内練習やスタメン紹介が行われました。スターの名前が呼ばれたときは、大歓声が起こります。
下の写真は、キックオフ直前のメインスタンド入場口の様子です。
スタッフの配置は適切で、大きな混乱はありませんでした。
おれは、そそくさと席に戻ります。
待ちに待った選手入場を迎えます。スタジアム中から、大きな手拍子が発生。
スタメン選手の写真撮影の前に、
鈴鹿市長、四日市市長のキックインセレモニーが行われました。
試合前後を通じて、このシーンが1番印象に残っています。
この様子は写真に撮影していませんが、
「スターは背筋をピンと伸ばして、胸の前で大きく堂々と拍手していた」からです。
他の選手やレフェリーは、少し背中が丸まっていたり、遠慮気味な拍手でした。
しかし、スターは違いました。
ファンから常に観られていること & 模範にならなければならない存在であること
これらを意識して、全て行動に移しています。ホテルの宿泊者名簿を記入するとき、職業欄のところに「KING KAZU」と書いていただきたいです。
私がスターの一挙手一投足に注目している間に、スタメン選手の写真撮影が行われます。
↓アウェイチームのラインメール青森
↓ホームチームの鈴鹿ポイントゲッターズ
そして、キックオフ
↓鈴鹿が攻める側のゴール裏。まるで、日本代表戦です。
↓青森が攻める側のゴール裏。いつものJFLです。
スタンドの雰囲気は書くまでもないと思いますが、スターにボールが渡るだけで大歓声。
ここまでは想定内でした。想定外だったのは、
ゴールキックを蹴ったとき、「ボールが凄く飛ぶ」という声がチラホラ聞こえたこと。
サッカー観戦自体が初めてな人も、ある程度いたことが伺えます。
試合自体は、いかにもJFLといった試合。
両チームとも、決定機が少なかったです。
前半途中に、青森の差波優人が、「3年前の坂井将吾」を思い出させる著しく危険なプレーで一発退場。
このプレー以降、青森はブロックを引いてガチガチに守りを固めます。
柴田監督が率いるチームなので、守備はある程度強固です。
鈴鹿のスターは「ゴールの匂い」が皆無に近かったです。
しかし、ピッチ上で偉ぶる素振りは一切なく、一所懸命なのは十分伝わっています。
壁が1枚だけ必要なフリーキックのピンチの際は、全てスターが壁に立ちます。自分がチームのためにできる役割を、そつなくこなしていました。
とはいえ、スコアレスドローが脳裏をよぎる中、前半終了。
後半に入り、スターの運動量がガタ落ちしたところで、鈴鹿の三浦泰年は選手交代を決断。
スターがベンチに下がる際、メインスタンドに軽く拍手。メインスタンドは大きな手拍子で応えます。
観客はみんな座っていましたが、プレミアリーグのように「スタンドが総立ち」になるような文化が個人的には理想です。
ベンチにいるスターは、
バスローブに着替えることはなく、
ベンチウォーマーを羽織ります。
後半25分ころ、今日の観客数が4,620人であることがアナウンスされ、拍手とどよめきが起こった直後、鈴鹿が先制点をゲット。客席からは、「それなりの」大歓声が沸きます。
ラインメール青森は、攻撃能力の高い榊原や津久井が孤立して反撃の糸口をつかめず。小島樹が戦線復帰するまでは、我慢のサッカーが続きそうです。復帰すれば、2017年のようなサッカーができます。観客を楽しませるプレーも存分に魅せてくれます(もしできなければ、私を批判してもらって構いません)。
ラインメールに得点の気配が薄い中、試合は後半ATに突入。
その直後、菊島卓(前所属、ブリオベッカ浦安)が豪快なミドルシュートを決めて、鈴鹿が追加点を上げます。
本人やスターも喜んでいましたが、三浦泰年監督もメインスタンドに向かって両手を大きく広げ喜びを全身で表します。
太鼓に合わせた観客の手拍子が、一層大きくなります。
このまま試合が終わり、2-0で鈴鹿ポイントゲッターズが快勝。
選手が競技場を一周してあいさつする際、芝生にいた観客が陸上トラックまでせり出します。
↓球団関係者が、慌ててロープを張っています。
第三者として見ている分には、本当に幸せそうなセレブレーション(祝い事)です。
このセレブレーションに対し、批判的な声が多く集まっている模様です。しかし、
個人的には特に問題はないと考えています(観客がピッチに立ったら大問題です)。
声出し応援もそうですが、「ルールに従うべき」ではなく
「なぜそのルールがあるのか」「大きな不都合が起きない範囲で、ルールを変更することはできないのか」といった目線で物事を考えていきたいです。
今回の場合、「極力ピッチに近い場所(陸上トラックなど)で、安全に試合観戦することは可能かどうか」検討していただきたいです。
セレブレーションが落ち着いた後、
監督へのインタビューが行われます。(↓公式HPの記事です)
月曜日に元気が出ると思って貰えるチーム
この一言には大いにうなづきました。
続いて、ベストプレーヤーへのインタビュー。
選ばれたのは、菊島 卓でした。
(↓公式HPの記事です)
「こんなにお客さんが入った中で試合をするのが初めてで…。」とコメントした瞬間、
私は思わず「ごめんなさい!」と言ってしまいました。
前所属球団では、マスコットキャラクターの「べか彦」が、すーぱーすたー候補で
(↓2019年7月撮影)
スタジアムグルメは日本屈指なのに
2019年の平均観客動員が909人。
ベカスタ(ブリオベッカ浦安競技場)に来た観客を、熱心なファン(リピーター)にできない責任の一部は、おれにもあります。
スターを観に来た観客が、菊島のゴールによって鈴鹿のファンとなった人もいるでしょう。
ゴールが決まった後の一体感は、J2上位のチームと遜色ないものでした。
その一体感をベカスタで味わうため、熱狂的ファンとして、何ができるのか?自問自答は続きます。