サポーターはチームの鏡

タイトルに掲げたセリフは、サポーターが何かしらの行動を起こしたときに使われる(場合が多い)。
例えば、選手を非難する意味でのブーイング・バス囲みetc.
どちらかというと、悪い意味で用いられる。
しかし、このセリフは別の意味を持っている。
それは、
球団首脳やGM・監督、主力選手の「仕事観やサッカー観」を「ファン・サポーターが共有すること」だ。
今年観戦した試合の中で、忘れられないゲームがある。
それは、関東リーグ 東京ユナイテッドvsVONDS市原(小石川運動場) 。
首位攻防戦という状況も手伝い、タッチライン脇の観戦スペースには、多くのファンが詰めかけていた。
東京ユナイテッドからすれば、勝利がほしい展開だったこともあり、選手が審判に抗議するシーンが目立つ。特に、岩政大樹は、観客にも内容が聞こえるほど大きい声で抗議していた。
対するVONDS市原。監督のゼムノビッチは、天皇杯本戦で退席処分を受けるなど、審判に抗議することが多い。
試合終盤、選手交代の際に、意思疎通が合わず、トラブルになってしまう。その後、


声出し応援が禁止されている会場で、審判に対して、かなり大きな野次が飛ぶ。
地域リーグとは思えない、異様な光景だった。
この光景を生み出した要因は、両チーム監督、主力選手の「仕事観やサッカー観」だろう(その考え方は、決して間違いではない)
ピッチ外の話になるが、
松本山雅の反町監督は、「仕事観やサッカー観」を「ファン・サポーターが共有」する方法として、面白い手段を用いている。
信州での普及率が高い信濃毎日新聞へ月1回コラムを掲載することだ。(現在でも続いている)
信濃毎日新聞社 「RESPECT《リスペクト》 監督の仕事と視点」(松本山雅公式HP)
【スタッフブログ】RESPECT(東京ユナイテッド公式ブログ)
監督の考え方を、地域のファンに直接伝えられるので、「ファン・サポーターと考えを共有」しやすい(ただし、監督の考え方が間違っていると、チームの成績はどん底に陥るだろう)。
普及率が高い地方新聞は、大手新聞以上に「情報を信頼している読者が多い」ため、この手段は有効といえる。
翻して、おれの贔屓チームに話を移す。
(試合ごとにレポートを取り上げることは嬉しいが)チームの公式HPで「攻撃的な姿勢」や「遮二無二ゴールを狙う」ことを多く取り上げると、
ファンはそこしか観なくなってしまう。ゴールが醍醐味であることは理解できるが…
「贔屓チーム」や「大手のテレビ放送局でよくある」試合の取り上げ方として、
攻撃的なサッカーを展開しました。
しかし、一瞬のスキを突かれて失点しました。(そのスキは一瞬でないことが多い)
その後も攻め続けました。
でも、決定機を○○が外しました。
惜しくも負けました。
上記のような取り上げ方をすると、守備でのいいプレーや、積極的な惜しいプレーに対して、誰も反応しないスタンドになってしまう。決定機を外した場面では、ため息ばかりが漏れて、スタンドが盛り上がる場面は、ゴールだけになる…
この考え方とは、対極にあたる監督がJリーグにいた。
ジェフを率いていたイビチャ・オシム氏。
象徴的だったのは、2003年J1リーグ1stステージ第13節 ジュビロ磐田vsジェフ市原でのワンシーンだ。

以下、オシムの言葉 (集英社文庫)の一部抜粋
来た!足元に山岸から絶妙なクロスが届けられた。
フリーだ。ただヒットすれば勝利が来る。
同時に優勝をほぼ手中に収めることができる。
足を振る。決まったと思った。
しかし。ボールには触りながらも、軌道は定まらなかった。
黄色い悲鳴と水色のアンドの叫び。勇人は責任の重さと悔しさに点を仰いだ。

-中略-
ミックスゾーンにいた勇人は、悔しくてたまらなかった。
そこに記者が話しかけた。
「監督に最後の佐藤のシュートが残念でしたね、と聞いたんだよ。
 そしたら、『シュートは外れるときもある。それよりもあの時間帯に、
 ボランチがあそこまで走ったことを、なぜ褒めてあげないのか』
 といわれたよ」
全身が痺れた。この人はどこまでも自分たちを見てくれている。

試合レポート(ジュビロ公式HP)
試合レポート(ジェフ公式HP)
「サポーターはチームの鏡」とはよく言ったものだ。オシムの言葉を(ファン含め)チーム全体で共有することで、チームの成績は上向いた。これは顕著な例だ。
情報を発信する側が、受信する側のファンに対して「仕事観やサッカー観」をどのように伝えるのか?
多くの来場者が見込める来年の関東リーグでは、勝負のポイントになるかもしれない。

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