女川スタジアム こけら落とし

梅雨入り前の快晴に恵まれた6月の東北。

その中心地・仙台から東京へ向かう新幹線の車内は座席の8割近くが埋まり、あちこちから缶ビールを空ける音が聞こえてきます。

おれは缶ビールを飲まず(飲めない)、日帰りでの出来事を振り返っています。

スタジアム到着まで

「女川スタジアム こけら落としの試合は有観客で開催。居住地等の制限はなし」
この情報を聞いたとき、是非行ってみたいと思いました。

なんとか日程の調整がついたものの、試合前日も仕事。当日朝、東京を6時半に出る新幹線に乗車。仙台には8時過ぎの到着。
在来線に乗り継ぎ、石巻からは単行のディーゼルカー。
さらに旅情が増します。

女川駅に着いたのは、10時ちょうど。東京駅から3時間半くらいです。

駅係員にきっぷを渡したところで見えたのは、

女川の新しい商店街と海でした。見た瞬間の感動は、車で来たとき以上のものでした。

早速、商店街の中の店へ行き、持ち帰りの寿司を買います。
厚みのある気仙沼のカツオが多く入っていて、美味でした。

あっという間に平らげてから、実家へ海産物を送り、商店街を歩きます。

コバルトーレ女川のポスターと幟が目につきます。

中には、今部勇太もありました。

この商店街と海はすぐ近くですが、その間には震災遺構の旧女川交番もあります。

よく言われる例えですが、時が止まったように感じます。

駅前の観光を終え、スタジアムへ向かいます。

ゆるやかな上り坂を歩くこと10分。

新築の家がチラホラ見えるだけの場所に、目的の場所がありました。

スタジアム到着

昨年3月に来たときは工事中で、竣工してからは初訪問です。

ほどなく、スタンドへの入り口が開門となります。

入場料は無料。

スタジアムの通路はピッチ一周できる構造となっていました。
座席があるのは、メインスタンドの700席程度。前後の間隔は広く、窮屈な想いはしません。

一般の来場者が入れるところはひととおり回りましたが、何回もひとり言で「いいなぁ」とつぶやいていました。

バック側の芝生の傾斜が緩いことだけは気になりましたが、いいとこだらけ。
フェンスがなく、ピッチとの距離は書くまでもなく近い。

JFLなら全く問題ありません。J3を開催するには、照明の問題が生じるようです。

1番気に入ったのは、
選手がロッカールームからピッチに出てくるとき、
観客から見える階段を使い降りる構造になっているところ。

Jリーグだと、チュウブYAJIN(米子) か ありがとうサービス.夢(今治)くらいでしょうか。

ピッチ内練習が始まったころ、スタジアムグルメを調達。
4台のケータリングカーが出店していましたが

今回はビーフケバブサンド

「あの浦安ファン」が1つしか買わないの?と思う人もいるかもしれません。
しかし、このスタジアムから歩いて10分で市街地のため、そこで新鮮な海産物をたらふく食べることができます。(カツオのから揚げを300円で購入)

その後は、グッズ売り場へ行きます。
そこにいたのは、今部勇太
残念(ベンチ外なので)。

チームのタオルマフラーを購入します(昨年3月にも別デザインを買っています)。

ピッチ内アップが終わった後、スタジアムDJによるスタメン発表が行われます。
まず、アウェイチーム プリメーロの紹介。
プリメーロのサポーターは見当たらず。なのに、選手1人ごとに数十人が拍手。
つまり、コバルトーレのファンが、相手選手のアナウンスに拍手。
女川町の「ニートみたいなキャラ」も拍手。

続いて、ホームチームの紹介。こちらは、数百人が拍手。
それに加え、女子高生チアリーダー部の「ヒュー!!」という甲高い声も。

選手入場直前には、女川町長のあいさつ。

サポーターみなさんで盛り上げていきましょう という慣例句の前に、
スタジアムが遅れてすみませんでした。 という異例の謝罪がありました。

女川町として、このスタジアムを重要視していることが伺えました。

気温が少しずつ上がり(メインスタンドの日陰は寒い)、風も強まる中、
選手がロッカールームから出てきて
観客席中央の階段を降りてピッチに入場してきます。


バック中央の大旗が、記念すべき試合に色を添えます。

この日の観客は510人。

こけら落としのスタジアムが、何とも言えない「幸福感」に包まれます。

スタメン選手の記念撮影。

↑アウェイチームのプリメーロ

コバルトーレ女川

ここで、No.4酒井隆也が魅せてくれます。

20m以上離れた場所でも、はっきり聞こえました。

スタジアムは大盛り上がり。サッカー界の松田宣浩と呼びたくなります。

そして、キックオフ

試合中

試合中の観客席の様子は、クリアソンのファンを見ている気分。

プレーのミスが起きても、ため息は全くなし。
シュートまで行けそうになって、やっと大きな反応がありました。
チャンスを迎えても、反応はそんなに大きくなかったです。

しかし、前半10分にコーナーキックから先制。

女川スタジアム最初のゴールは、No.9西山敢太

メインから、芝生ゾーンから、大きな拍手が送られます。
それはいいのですが、スタジアムDJの「ゴーーーーール!!」のアナウンスが非常に大きく、選手や観客よりも目立つ有様でした。
正直、うざかったです。

その後は、プリメーロも守備が慣れてきて、試合は膠着状態に。
客席のあちこちから、「相手のペースに合わせることはない」といった声が聞こえてきます。
試合展開に焦れたのかは分かりませんが、育成組織の子どもたちから自然発生のコールが発生。
残念ながら、スタジアムDJから注意喚起が行われます。

結局、前半は1-0で終了。

ハーフタイムはチアダンスが行われます。
観客の多くが手拍子していて、いい雰囲気になります。


それと同時に「べか彦の偉大さ」にも気づきました。

後半は、修正がうまくいったコバルトーレのゴールラッシュ。

2点目。
3点目。

どんどん点が入ります。途中出場の選手が出場するとき、知り合いと思しき観客からのサポートが大きかったです。

コバルトーレはイケイケ状態。スタンドも乗ってきます。

しかし、前半同様にスタジアムDJの「ゴーーーーール!!」のアナウンスは非常に大きかったです。近くにいた観客が「魚市場のセリのサイレンみたい」と言ったときは、心の中で爆笑しました。

結局、コバルトーレは6-0で圧勝。

試合後

MOMはエースのNo.11野口龍也(前所属はブリオベッカ浦安。半年弱しか在籍せず、出場もなし。コバルトーレへ出戻る形に)。ハットトリックの大活躍でした。

うまい鮨勘から商品券が贈呈されます。三陸のスシボンバー

(背番号13のユニを着ているのは、長期離脱中の 竹田 そら へ向けたもの)

ヒーローインタビューが行われた後は、監督と選手数人がピッチ上でメディア対応。

これらを見届けて、女川を後にします。

最後に

観客席は、お年を召された方ばかりではなく、子どもたちや若い方も多くいました。

これから、素晴らしいスタジアムで、嬉しいことや悔しいことをたくさん経験するでしょう。

また来るときは、声出し応援も容認されるはず(明日のブラジル代表サポーターの大規模実証実験の結果により)なので、東北人特有のでかいため息さえなければ、よりよい雰囲気になるはずです。

1人のサッカーファンとして、そうなることを期待しつつ、この文章を締めます。