スポーツ観戦ではなくスポーツ観賞の時代

2021年夏に書いたブログの続編となります。

ブログを書いた当時よりも、スポーツ観賞の色合いが濃くなってきました。

昨年12月、1冊の書籍「映画を早送りで観る人たち 稲田豊史(2022年).光文社新書」を購入し、Z世代のスポーツ観賞について少し考えてみました。

映像作品などと同様にスポーツ観戦を「コンテンツ」として考えると、フットボールを現地で観るのはタイパ(タイムパフォーマンス)が悪い行動の1つです。

ネット上でのスポーツ観賞が好きなファンは、数分間のダイジェストですら飛ばしたり倍速で観ていますが、

昭和時代の「三菱ダイヤモンド・サッカー」(ヨーロッパの国内リーグ戦やA代表による国際親善試合やFIFAワールドカップ予選などを前後半2週に分けて放送)が主だったサッカー番組のころには、考えられない状況です。

「無駄を避ける」「タイパ(タイムパフォーマンス)重視」「社会への還元とか生産性の向上への思考を強いる」現代では、当然とも言えます。(25歳以下の人に「石の上にも三年」とか「若い時の苦労は買ってもせよ」なんて言ったら、ブチギレされそうです)

結果として、「分かりやすいもの」がより喜ばれるようになりました。スポーツの応援風景だと、Bリーグの試合は初めてでも分かりやすいです。

これからの情報発信は、より短く より具体的に が問われるでしょう。政治系アカウントでも、長々とした文章よりも、焦点がピンポイントすぎる編集動画や漫画(右翼も左翼も)のほうが反響は大きいです。文章を書くときは「面白そうな見出し」が、より求められます。

若者も大人も時間的余裕がなくなった結果として、エンタメで心が豊かになっていくのではなく、ストレス解消が目的になっています。

どんなに強いチームでも、勝利するのは7割くらい。応援しているチームが勝つことを目的として観戦するなら、3割の確率でストレス解消どころかストレス激増。応援して必ず勝てるわけではないスポーツは「リターン(見返り)の博打度が高い」です(おれの経験だと約100試合に1回だけ、一生の思い出にできる最高の瞬間に巡り合えます)。

漫画やアニメだと、ストレス解消を目的とした読者・視聴者の求めるストーリーは明白です。

「主人公は清廉潔白」「ハッピーエンドが約束」されている展開が、ほぼ100%占めています(おれの好きな野球漫画「クラッシュ!正宗」や「ワンナウツ」のように、時折主人公がヒールになる展開は、今の漫画にほとんどないはず)。

 

ストレス解消と正反対の話を続けると、世の中全体では、表立った批判が少なくなっています(匿名の場合は話が別)。

フットボール特有の現象として、ファン・サポーターの批判が表面化しやすいことがあげられます。おれ自身、「なんでサッカーのサポーターは、あれだけ批判しながら、スタジアムで応援を続けるの?」なんて質問を何回も受けています。

そんな質問をしてくる背景として考えられるのは、

学校やマスコミが「容姿や人種やセクシュアリティの多様性に寛容」であれという意見を言い続けているからです。裏を返せば「多様性を認め、個性を尊重」しないダメ出しには、我慢ならない人が増えています。もちろん、それは悪いことではないです。しかし、「自分と異なる価値観に触れて理解に努める」人は減っています。

そうなってくると、「評価が確立しているものに乗る」人ばかりになります。カタールワールドカップの日本代表戦4試合で1番視聴率が低かったのは、(コスタリカ戦に負けた後の)スペイン戦でした。

ここまで長々と書いてきましたが、現代の可処分時間(個人が自由に使える時間)の傾向としては、

1.タイパ志向 2.映像作品の供給過多による作品視聴本数の急増 3.セリフで全てを説明する映像作品の増加

フットボールにとっては嫌な流れといえますが、逆を言えば特徴がより目立つと考えたいです。特に応援は、現場特有の流れ・雰囲気をこれからも大事にしたいです。

おれがシーズン開幕前にやることとして↓の改訂はもちろんですが、

以下の3つもやります。

1.おれが持っている横断幕のリニューアルに伴い、英文箇所を変更。2019年に1試合だけ掲出した文章にして、ホームゲームの楽しみ方をより具体化します。

2.浦安ファンになりたい人へ の文章を考え直す。フットボールの楽しみ方とチーム特有の楽しみ方を織り交ぜます。

3.選手紹介を書く(新加入選手は書きません)。

 

明日は、ホーム開幕戦の会場が発表されます。東総だけはゴメンですが、どうなるのでしょうか?