JFLは、盛夏が続く中で連戦が続いている。
降格する可能性が高いブリオベッカ浦安が柏の葉に迎え撃つ相手は、空母ことFC大阪。勝ち点を取るカギは、「昨年のリーグ得点王」川西誠をはじめとする破壊力抜群の攻撃陣をいかに抑えるか。この1点だった。
両チームのファンが掲出したダンマクは以下のとおり。
FC大阪
浦安(拡大)
新監督就任3週間後、「柴田浦安」の横断幕が今日から登場。新監督に対する期待の高さが伺える。前監督の横断幕は…6年半で1回も作られなかった。つまり、そういうことだ。
試合前のアップ時や選手入場前に声出し隊は、(珍しく)応援の話や、試合で想定される展開について忌憚のない意見が交わされる。その意見で出た案は、試合中に実施されることになる。
声出し以外の客席を見ると、いつも以上に子どもたちが多い。夏休みに入ったからだろう。
他に、浦安SC(ブリオベッカ浦安)のOBが何人もスタンドにいた(おれが確認できただけで4人)。
そして、選手入場。
浦安のスタメンは前節と変わらず。対するFC大阪のGKは永井文也。
2011年の浦安JSC当時から昨年まで、浦安のGKだった選手。そして今年(金持ちの)FC大阪へ移籍。現在は正GKだ。
コイントスで勝った浦安は、前半で追い風になるようにエンドチェンジを要求する。
となると、GK永井は、声出し隊の近くのゴールを守ることになる。声出しは先ほど出た意見をもとに、永井を温かく出迎える。(誹謗中傷以外の)いろいろなことを言った気がするけど、派手なユニフォームにかけて「ピンクが似合う男前」という声援が飛んだときは、声出し隊の全員が笑った。そのキャッチフレーズは、現強化部長のはず…
そんな声援(?)に対して、永井は会釈してくれた。
そして、キックオフ。
相変わらず永井は浦安ファンに大人気。バックパスでボールを貰う度に、ブーイングではなく「危ない!」の大合唱(苦笑)を受けていた。
ピッチ全体に目を移すと、FC大阪は浦安の人数を掛けた守備に少し手を焼いている印象だった。秋葉、上松の前でFC大阪の選手がボールを受けても、その後をいい形で繋がせない。特に、川西誠は左ウィングから1列下がったところでプレーすることも多かった。
風上にエンドをとったこともあり浦安の守備はうまくハマっていたが、攻撃ではあまりいい形を作れない。ただ、FC大阪が浦安にロングスローを投げさせたくない守備をしていた。FC大阪から見てスローインに逃げたほうがいい場面も、無理に前線へロングボールを蹴るシーンが散見された。
どちらのチームも閉塞感が漂う中、浦安のウィングバック田中貴大がサイドを駆け上がる。マッチアップするのはFC大阪の舘野。「親友」のマッチアップだったが、田中貴大はマイナスの角度にパスを出す。PA内で南部が倒されてPK獲得。100%PKかといえば、そうではないが、いい形でボールが入ったのは事実。
個人的には、南部に蹴ってほしかったけど、キッカーは清水。浦安JSC時代からの主力同士がこんな形で対峙するとは…当時から浦安に携わっている方々の心中は察するに余り有る。
PK阻止率が異常なほど高い永井だったが、清水はボールを浮かせてキーパーの手が届きづらいところに蹴り込んだ。豪快にネットを揺らし浦安が先制。
エレクトリカルパレードが柏の葉で流れる。その直後、またも田中貴大がサイドを駆け上がり、ゴールライン近くからマイナスの角度にパスを出す。南部がボールを受けたが、角度はほとんどない。GK永井も間合いを詰めに来ている。と思ったら、右足ヒールでボールを転がす。永井は完全に裏をかかれ、再びゴールネットが揺れる。
大阪相手に2点リードを奪ったことで、客席のテンションは急上昇。エレクトリカルパレードも盛り上がる。声出し隊は意気上がったが、おれは違うことを考えていた。「FC大阪が嫌がることを徹底してほしい。相手に攻撃するスペースを与えないでほしい」
2点目以降の前半は、浦安のウィングバックが高い位置を取ることも多かったが、スコアは2-0のまま前半終了。
ハーフタイムの応援席は、浮かれた気分が全く無かった。いつもよりは緊張感があった。
後半開始直前、ロッカーアウトが遅れた浦安の選手たちを見て、リーダーが一言
「ピッチにいる選手の中で、ブリオベッカ時代しか知らない選手は何人だろう?」
リーダーの頭の中で、いろいろな出来事が交錯していることを伺わせた。
後半からエンドが代わり、FC大阪が風上にエンドを取る。当然、攻撃の圧力は高まる。
浦安は守りに集中する。ボールを奪ったら、少ない人数で攻める(そういう指示があったかもしれない)。
しかし、バックパスのパスミスもあり、いい形にはならない。浦安は1枚目の交代で清水→坂谷のカードを切ったが、坂谷がカウンターできる機会は、かなり少なかった。
GK本吉が何とかセーブする場面も目立ち始めたが、浦安は攻撃する機会を伺っていた。
そんな中、大阪が自陣からのフリーキックを得る。浦安はいささか攻撃のことを考えているように感じた。そんな中、ボールを繋がれて、PA外から川西が豪快なミドル。角度はやや左で20m以上あったが、本吉でも止められない。大阪が1点を返す。川西のシュートは素晴らしかった。J2チームのエースストライカーでも、決められない選手がいるだろう。とはいえ、浦安に油断があったのは事実。
このゴール以降、ますますFC大阪の攻勢が強まる。浦安の柴田監督は、後半20分過ぎに交代枠を使い切る。前線3枚をすべて代えた。
前線の3人はチェイスをかけ続けていたが、FC大阪からボールを奪えない。とにかく必死に守る。その中でも、富塚が特によかった。流れの中から川西に決定機を与えなかった。
FC大阪もフィジカルが非常に強い塚田を投入するなど猛反撃を見せる。CKは何本与えたか分からないくらい多かったが、浦安はなんとか凌ぐ。
試合が終盤に差し掛かるころ、本吉がキレキレの動きを見せる。浦安時代の永井の過去最高を上回ると言っても大げさではない。絶好調だったときの中島級の活躍ぶりだ。
浦安は意思統一してとにかく守る。
ピンチは何回あったか分からない。「やられた!」と思ったことも1回や2回ではない。
それでも、1点リードで後半ロスタイムを迎える。
ロスタイムの3分は、全員が最後の力を出して走り切り、決定機を与えない。
このまま試合終了。
ブリオベッカ浦安が久しぶりの勝利を挙げた。ホイッスルが鳴ったとき、柴田監督を注視していたが、右手で力強く拳を握ったのみ。トップチームの監督として、大きな初勝利でも、子どものようにはしゃぐことはなかった。
以下、浦安ファンの試合レポート(リンク)
歓喜と追憶の90分(ベか舟と矢切の渡しとサッカーと)
5回目の出撃にして空母初撃破 浦安 VS 大阪(青白サポの観戦日記)
当然、浦安ファンはハイテンション。声出し隊は、ハイテンションの中に、少しだけ安堵感があった。
そして、ラインダンス(柏の葉では初めて)。みんないい笑顔だ。
柴田監督へのインタビューが行われたあと、清水と南部のヒーローインタビュー。苦しいチーム状況でも、悲壮感がなかったところは心強い。
この直後、非常に残念な出来事が起こる。
引き上げていた選手にインタビューするため、チーム関係者が「場内のマイクで選手を呼び捨て」にしたこと。
さすがのおれも「選手を呼び捨てにするんじゃねーよ!」と客席から叫んだ。
現場が結果を出しても、チーム関係者が「選手や関係者、ファンに対して失礼な行動・言動」をすれば、観客は増えないだろう。まして、ジュニアチームが原点で「規律や礼儀に厳しい」チーム方針なのに…
いっそのこと、ヒーローインタビューはスクール生が行うことも1つの手だろう。
勝利した試合なので、下のツイートでごまかしてみる。
勝ってドヤァなべか彦 pic.twitter.com/aGPXcx0cGj
— まりもす(かもしか㌠) (@marimosu0628) 2017年7月22日
この試合は、数年前の浦安オールスターの様相だった。活躍した選手、ベンチ入りした選手、相手の選手、客席から見届けた選手etc.
こういった選手たちの活躍があったからこそ、JFLで試合することができる。
個人的に残留したい思いが強まったところで、選手によるお見送りタイムの前に柏の葉を離れ、
流経大ドラゴンズ龍ケ崎vsヴァンラーレ八戸の試合が行われている、
龍ケ崎へ。
高速道路を使って、後半開始前に到着。
キックオフ直前の円陣が解かれたところで、八戸応援席に乱入!
(台本は全くなかったけど)八戸サポに温かく迎え入れてもらう。八戸にとっては、昇格に向けて絶大なるアシストをしてくれた認識があるのだろう(うち1人は、土下座をするフリまでしてくれた)。
おれは、残留に向けて必死になっているだけ。ピッチ上では、浦安で大活躍した選手もいる。ドラゴンズには悪いが、おれは八戸を応援した。
ドラゴンズもヴァンラーレも決定機はいくつもあったが、結局はスコアレスドロー。
八戸応援席は、何とも言えない空気が漂っていた。
それでも、おれたち(2人だけど)が八戸サポにあいさつして客席を離れるとき、
【クレーム】
浦安さん浦安さんこの曲やめてもらえませんか?
完全に洗脳されてしまい
帰りの道中無限ループで困ってます
ふとした瞬間に
ブリオ ベッカ ウ ラ ヤ ス!!!
に襲われます
(^^)#コミュサカ#ブリオベッカ浦安 pic.twitter.com/vnXzKRfvLa— ティガー7/22アウェイ流経ドラvs八戸 (@tiga_mask) 2017年7月9日
「ブリオ ベッカ ウ ラ ヤ ス!!!」の大合唱が自然発生した。さすがのおれも戸惑った。
…いろいろな感情が湧き出た1日だった。