遠すぎる遠征で見えた「距離感」

2月中旬にJFLの日程が発表され、浦安戦の開催場所に「串間」の文字を見た瞬間、声を出して驚いた。
「サッカー好き&旅好き」の血が、騒がないはずはない。
仕事上、3月のホームゲームに全く行けなかったが、試合開催の8日前には往復の交通手段のチケットを確保。
復路は鉄道を選んだもあり、過去最大級の高額な交通費となった。あと1.5万円を足せば、ブリーラム(タイ北東部)遠征へ行ける金額になってしまった…
迎えた試合当日、まずは朝一番の飛行機で宮崎入り。
空港近くでレンタカーを借り(バスや鉄道では、キックオフに間に合わないほど宮崎市から遠い)、
串間に向けて南下。
南郷では新鮮なカツオを使った「カツオめし」を食し(期間限定とはいえ500円で食べられるのは信じられない)、
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西武ライオンズのキャンプ地に寄り、
串間に到着。宮崎市や鹿児島市へ行くバスがない町なのに、中心駅の大きさを見て泣けた。
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すぐにスタジアムへ向かわず、地元の回転寿司を少し食べて、ガイドさんの説明を聞きながら旧吉松家住宅を見学。
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遠征疲れが癒えたところで、スタジアムに向かう。
スタジアム脇に車を停めて、レンタカーの中で着替える。
選手入場とぼぼ同時に目的地に到着。雨が降り続けている。(ここからが観戦記)
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入場口でチケットをもぎってくれたのは、ホンダロックの若手選手。
ダウンコートを着ていた選手から「寒くないんですか?」と優しく声を掛けられる。おれは、「応援しているうちに暑くなるので大丈夫ですよ!」と応じた。ちなみにそのときの格好は、半袖&半ズボンだ。
その格好をしたのは雨の影響もあるが、この日の試合相手は、昨年、勝ち点1さえ取れなかったチーム。しかも、浦安ファンは少ない。子どもたちもいないだろう。となれば、多少「近寄りがたいオーラ」を発した熱い応援をしたい!と思った次第だ。
早い時間から来ている浦安ファンには頭が下がるよな。と思いながら、スタンドに入場。すると、
既に来ていた声出し隊2人の他に、20人近い浦安ファンがいるではないか!
後で聞けば、スポンサー関連の方々らしい。その行動力には感服するばかりだ。
ピッチ内に視線を移すと、芝生が育ちやすい宮崎県とは思えない状況。(写真は後半開始前)
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完全に重馬場。試合終盤、足にくる選手がいそうな予感だ。
立ち上がりから、両チームともプレスが鋭い。本当に90分持つのか心配になる。この日が初スタメンの相馬とキョンテもハイペースだ。しかし、悪条件のピッチに両チームとも悪戦苦闘。トラップがずれたり、ピッチに足を取られる選手も多かった。
片や、応援席はスローペース。おれがライオンズのキャンプ地に寄ったことを伝えると
「メヒアのチャント(応援歌)の べか彦ver」を披露。
ホンダロック側は、サッカー教室に参加していた子どもたちが応援に加わる。2年前にも見た光景だ。
ホンダロック宮崎vs鹿児島ユナイテッド 牧歌的なスタジアム
柏の葉で、多くの子どもたちが応援に加わると、ああいう応援になるんだ。 と想像する。
その直後、「ブリーオベッカ!」と叫ぶ声が。声の主は女性。スポンサー関連の方とは思えないほどの声。
ラインメールの女性サポに匹敵するほどの声&存在感。時には、事実上のコールリーダーになる時間帯もあった。スポンサー関連の方も、応援にノッてくれる。
おれが試合前に描いた応援とは異なる嬉しい誤算だ。
ピッチ内は五分五分の展開が続いていた。ロックは中盤もいい選手は揃っているが、個人的にうざい選手はポストプレーが上手い米良知記と、ドリブルに推進力のある坂本翔。しかし、その2人にいい形でボールが入ることは、あまりなかった。警戒していたセットプレーのピンチもほとんどない。矢部、笠松、篠原の「距離感」がよい。
一方の攻撃は、特に、上松のシュートを打つ意識が強いように感じた。少なからず決定機もあったが、決められず。スコアレスのまま前半を折り返す。
ハーフタイムの浦安応援席の雰囲気は、ごくごく普通。楽観的でもなければ悲観的でもない。
声出し隊が主に話したことは、GK大野のスタイルの良さと、
ミスターサイトーの存在感の無さ。「ろうか」なんて言わないし、DFラインに対する指示があるくらい。監督らしい仕事をしていた。
勝負の後半。浦安がペースを掴む。
ロックの選手がなんとかクリアした後のセカンドボールも、浦安が拾う。中盤のパス回しも今年1番良い。こうなると、浦安応援席はヒートアップ。おれも、応援に力が入る≒近寄りがたいオーラ を発し始める。
しかし、得点だけが決まらない…
サッカーにおいて、チャンスをいくつも逃すと、相手の流れになるケースがほとんど。
この日もそうだった。浦安はロックのカウンターに慌てて、PA内でファール。ロックにPKの大チャンスが与えられる。
スポンサー関連の方は、PKになったと気づくのは遅れていたが、おれはずっと言葉を発することができなかった。
浦安応援席は本吉のスーパーセーブを祈ったが、諏訪園が決めてロックが先制。
その後、応援席はあえて数分間にわたって何もせず。ロックは先制点を取る前よりも、浦安SBの裏すなわちコーナーポストを目指すサッカーに見えた。
後半30分。この時間帯で浦安がビハインドを負うのは今年初めて。最初の選手交代はout相馬in南部
おれは「こっから同点に追いついたら、かなりいい試合だと思いますよ」と呟く。リーダーは「もし、ここから逆転勝利すれば革命的だよ」と呟いた。
ここから浦安応援席は再びヒートアップ。
ロックはゴール前を固める意識が強いように見えたので、サイドからの攻撃が有効になる。それでもミスターサイトーは、特に大きな声を発しない。
秋葉や富塚は躊躇なくポジションを前にとる。
上松が攻撃のタクトを振るう。その上松に対するマークはきつく、ロックの選手がアフター気味に上松の左足を軽く蹴り上げる形になる。主審がアドバンテージを取ったボールは繋がり、浦安が左CK(コーナーキック)を得る。
浦安応援席の前でボールをセットする上松。左足を気にする素振りもあったが、浦安応援席はさらにヒートアップ。上松が蹴ったボールは、相手の手に当たり、浦安にPKの大チャンス(直前のアドバンテージといい、野堀主審は良く見ている)。
スポンサー関連のみなさんは大喜びだったが、得点が決まったわけではない。おれは、とりあえず落ち着かせるジェスチャーを繰り返す。PKを獲得してからPKを蹴るまでは、ほとんどピッチを見ていない。
このPKは俊哉様が確実に決めて、浦安が同点に追いつく。エレクトリカルパレードが「ど田舎」でも流れる。女性の方は、俊哉様のカッコよさもチェック済だったようで、テンションが異様に高かった。
でも、1番テンションが高かったのは「おれ」かもしれない。この時間帯の前後から試合終了まで、ロック応援席の声も、ミスターサイトーの声も一切記憶にないからだ(強いていえば、「選手交代をアピールするときくらい」)。それくらい応援に集中していた。おれの近くは、近寄りがたいオーラが充満していただろう。「楽しそうな応援に見えない」ことは間違いない(苦笑)。
同点に追いつかれたロックは、中盤がスカスカに見えた。米良知記や市原大嗣を狙ったロングボールも、浦安の篠原、笠松そして矢部が弾き返す。
こうなると、浦安は逆転を狙える状況になる。2枚目の交代はout坂谷in清水。ロックの厚い守備陣の前でボールを回せる選手がピッチに入る。
浦安のパス回しをロックが弾き返す構図になってきた後半45分。浦安が左CK(コーナーキック)を得る。先ほどの得点もCKから生まれており、浦安応援席のテンションはぐんぐん上昇。
「宮崎のど田舎」とは思えない雰囲気の中で上松が蹴ったボールはファーに流れた、と思った。そのボールは俊哉様の長い足に触れて、ボールの角度が変わる。ずっと走っていた影響からか、ロック守備陣の反応が少し遅れる。直後そのボールは、豪快にネットを揺らした。
歓喜の輪が浦安ベンチ前に広がる。決めたのは笠松亮太。おれは、エレクトリカルパレードを歌った記憶にないほど興奮。少なくとも、器物破損や傷害事故は起こしていない。
そして、興奮していたのは公式Twitter中の人も同じ


「得点」の単語を複数回出している。そして、


ロスタイムの表示は3分だった(笑)。それくらい、現地は異様な興奮状態だった。
残り時間は、ロックが必死の反撃に出るが、浦安が抑える。最後の交代枠も有効に使い(丸山はJFLデビュー)、
このまま試合終了。
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ブリオベッカ浦安、平成29年リーグ戦初勝利
ホンダロックはリーグ戦で8か月半ぶりの黒星。
浦安応援席は、興奮が全く冷めない。選手もテンションが高い。
柳澤コーチは笑顔で両手を大きく広げて、20人少々のファンを煽る(でも、既にテンションMAX)
ミスターサイトーは、↓以上にいい笑顔だった。
これぞ天王山 VONDS市原vsブリオベッカ浦安

そんな中、「ラインダンスやりましょうか?」の声がリーダーから掛かる。
選手は、スタンドのそばまで、近づいてきてくれた。
ファンも選手も、それに応じて、初めてのラインダンスとなった。
(3月27日23時現在、Facebook動画の再生回数が1.1万回!!)

公式HPでも、Facebookでも、写真に映る選手の笑顔が最高にカッコいい。
一段落してから、ロックサポーターから「ブリオベッカ」のチームコールが入る。(大逆転負けをくらい、長時間待ってもらった上に、チームコールまでしていただいて、本当にありがたい)
こちらも「ホンダロック宮崎」コールをしたつもりだが、みんな声が枯れている。ちゃんと返せず申し訳ない。
その後は、浦安の応援をしたスポンサー関連の方と少し交流。
みなさんに「寒くないですか?」と聞かれたが、この試合展開で寒いはずがないむしろ適温
スタンドを出てから、いつもよくしてもらっているロックサポーターに、「宮崎を楽しんでいってください」と声をかけていただき、串間を後にした。
帰りの車内はリーダーと一緒だったが、主な話題は3つ。
1つは、「こんな劇的な試合展開…」という話
2つめは、「声が枯れた、タイコを叩く手が…」という話
最後に、浦安の監督は、「ミスターサイトーのそっくりさん」だったのでは?という疑念を抱いた話

「自信」を「過信」にしないで、いい4月を迎えよう