人には口が一つなのに、耳は二つある

それは自分が話す倍だけ、他人の話を聞かなければならないからだ。byユダヤのことわざ
おれが学生のころ、長い期間にわたり低迷しているプロ野球チームがあった。
名将と呼ばれる男が監督に就任してから3年目、7月の中断期間中のこと。
その監督と、球団オーナーが会談を行った。監督は、オーナーに対して以下の提言を行った。
「チームの成績が悪いからといって、監督をコロコロ代えて済ますのは、的外れです。チームの心臓は編成部。ここから治療しなければ、強いチームは作れません」
(ドラフトやFAなど)チームの強化論について提言したところ、オーナーは、このように反論した。
「(ポジションが被ろうとも、他球団の主力選手を大型契約で加入させる)巨人のやり方が正しいというのかね!?」
そう聞かれた監督は、
「ある意味では正しいと思います」と応じた。
チーム強化論が真っ向から対立した結果、この会談は3時間以上の時間を費やした。
会談中に監督は、退任後のことも話している。
「このチームを変えられるのは西本(幸雄)さんか星野(仙一)くらいですよ」
会談が行われたのち、オーナーの心構えが変わったのかどうかは分からない。変わったことがあるとすれば、球団OBの意見を聞くようになった。シーズン終了後には、他球団の監督を退任したばかりの野球評論家と、水面下で会談を行っている。
紆余曲折を経て、オーナーはその野球評論家に次期監督就任の正式オファーを出す。その席で、野球評論家はオーナーに対し、辛辣な発言をした。
「阪神を変えるには、まずあなたから変わっていただきたい!」
結局、その評論家が監督に就任。巨人のやり方を駆使しながら、リーグ優勝を達成した。
贔屓チームに対して、上記のことをやってほしい。そこまでは思わないが、昨日のブログに書いたとおり、現状認識はしてほしい。
選手の育成には「ある程度」定評がある。これは正しいだろう。
しかし、昨シーズン末~今シーズン途中の出来事を飲食店に例えると、
自前で、おいしい和牛を育てている。
しかし、店の看板メニューだった和牛が無くなった。
それでも、何も変えず(変えられず)に経営をしていた焼き肉屋

近年の日本国内で「自分たちのスタイルは変えないサッカー」といえば、ミハイロ・ペトロヴィッチのサッカー(通称・ミシャ)だろう。ミシャだって、チーム状況によっては、違うサッカーを選択することもあった。
【J1:第2節 大宮 vs 広島】ペトロヴィッチ監督(広島)記者会見コメント
【J1:第2節 大宮 vs 広島】レポート:『勝点3を取るため』のカウンターサッカーに徹した広島と、数字では圧倒しながら敗れた大宮。チームとしての成熟度の差が結果に表れる。(以上、J’s GOALアーカイブ)
ミシャのサッカーも浦安のサッカーも、極めれば美しいサッカーといえる。
しかし、人生と同じで、うまくいかないことも多々ある。他の考え方が必要なときもある。寄り道が必要なときもある。
そうなったときの判断が遅くなってしまい、浦安は降格圏のままシーズンが終わった。
「浦安らしいサッカー」は、確かに素晴らしいかもしれない。しかし、それだけではJFLで結果を残すことができない。
今季終盤、攻撃でも守備でも結果を出した柴田監督を契約満了にした以上、スポンサーさんや関連企業の方々の目は厳しくなる。球団首脳には、この点を意識して、来シーズンに向けた活動をしてほしい。(万が一、この状況でも自惚れていたら、チームは存続できないだろう)